このページのまとめ

  • 巨大な中国市場において化粧品は人気の商品
  • 日本製化粧品は好評で、越境ECでの売上も期待できる
  • ただ、NMPA申請などの規制があるため注意
  • 中国越境ECを成功させるには、SNSでの宣伝やメジャーな決済方法の導入が肝心

巨大なEC市場を有する中国において、「化粧品」は特に人気が高いジャンルの一つです。化粧品で中国越境EC参入を検討している方は、このコラムで基礎知識を押さえておきましょう。

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化粧品は中国越境ECにおける人気商品

人口約14億人を抱える中国には、巨大なEC市場が存在します。経済産業省「電子商取引に関する市場調査」によれば、中国のEC市場シェアは全世界の52.1%、つまり世界の約半分を占めているというデータが出されている程です。

【国別EC市場シェア:上位5カ国(2021年)】

1位 中国:52.1%

2位 アメリカ:19.0%

3位 イギリス:4.8%

4位 日本:3.0%

5位 韓国:2.5%

巨大な市場を有する中国は、越境ECを展開する企業にとって見逃せない存在といえます。

毎年さまざまなジャンルの商品が中国向けに販売されていますが、その中でも注目度が高いのが「化粧品」です。

経済産業省「電子商取引に関する市場調査」では、中国人消費者が越境ECで購入している商品のうち、最も多くの人が買っている商品は化粧品であるというアンケート結果を発表しています。

【中国の消費者が越境ECで購入している商品:アンケート結果(2019)】

1位 化粧品・美容関連製品:40.6%

2位 トイレタリー:38.2%

3位 健康商品:35.8%

4位 食品・飲料:32.1%

5位 家電:26.7%

6位 衣料・バッグ:25.2%

7位 ベビー用品:23.0%

8位 家庭用品:19.1%

9位 スポーツ・アウトドア用品:19.1%

中国越境ECにおいて化粧品が狙い目の商品であることがうかがえます。

経済産業省「令和2年度 産業経済研究委託事業(電子商取引に関する市場調査)

経済産業省「令和3年度 電子商取引に関する市場調査 報告書

品質と信頼性の高さが求められる日本の化粧品

日本の化粧品は中国でも大人気です。

偽物や信頼性の低い商品が出回っている中国では、品質の高い商品が求められる傾向にあります。そこで、日本製化粧品の「高品質さ」や「信頼性の高さ」「品種の多さ」が評価されているのです。

しかし、中国国内外の数多くのメーカーがしのぎを削るなか、「日本製」というだけでは商品は売れません。売上を伸ばすには工夫が必要です。たとえば、日本の大手化粧品メーカーはライブコマースに力を入れています。ライブコマースは、オンライン販売とライブ配信を組み合わせた手法のことです。視聴者と販売者のリアルタイムなやり取りで、より商品の魅力を詳細に伝えることを目的としています。

中国越境ECの基礎知識・化粧品の規制事情

中国は、越境ECで化粧品を販売するのに狙い目の国です。中国越境ECに参入し、販路拡大を目指している事業者も多いことでしょう。ただ、中国には化粧品の輸入に関する規制がいくつかあるため、注意が必要です。参入前に、中国の規制事情について押さえておきましょう。

NMPA(中国国家薬品監督管理局)への申請

化粧品を輸出販売するには「NMPA(中国国家薬品監督管理局)」へ申請し許可証を取得しなければなりません。NMPAは化粧品や医薬品を管理する中国の国家機関です。

化粧品は「特殊化粧品」と「普通化粧品」に分類され、検査内容や手続きにかかる時間などがそれぞれ異なります。

  • 特殊化粧品:シミ取り、美白、日焼け止め、染髪、パーマ、抜け毛予防など
  • 普通化粧品:特殊化粧品以外のスキンケア・ヘアケア・香水など

ただ、基本的な申請フローはどちらも同じです。概ね以下の流れで申請を行います。

  1. 申請前に成分チェックを行う
  2. 中国の責任企業と契約し、委託して登録を行う
  3. 申請書類を揃え、製品サンプルを発送し製品試験を行ってもらう
  4. NMPAの審査を受けたのち、許可が下りれば販売可能になる

普通化粧品の手続きにかかる期間はおよそ6~12ヶ月ほどです。特殊化粧品の場合は検査や申請に時間がかかるため、手続きに1年以上かかることもあります。そのほか、新原料を申請する場合は審査にさらに時間がかかるため留意しましょう。

CCC認証(中国強制認証制度)

CCC認証(中国強制認証制度)は、主に電気製品や精密機器について、輸入が認められる製品かどうかを政府が審査する認証制度です。化粧品と併せて美容機器を販売する場合は、対応しなければならないこともあります。審査にかかる日数は約3~6ヶ月と長く、また費用もかかるので、対応する必要がある場合は早めに準備しておきましょう。

中国越境ECを始めるには?

中国越境ECに参入する方法は主に3つあります。自社の扱う商品やビジネスの規模に応じて選択するのが良いでしょう。

なお、越境ECの始め方については「中国越境ECに参入するには? 市場規模や始め方について解説」で詳しく解説しているため、興味のある方はご覧ください。

現地の越境ECモールへ出店する

中国の大手ECモール「天猫国際(Tmall Global)」や「JD.worldwide」は、中国に法人を持たない企業も出店できます。越境ECに対応したモールに出店する方法は、自社サイトを構築する必要がないところや、モールの集客力を活かせるところが魅力。ただ、出店基準が厳しく設けられている場合もあるため、事前によく調べる必要があります。

自社のECサイトを越境ECに対応させる

自社のECサイトがあるなら、言語や決済方法を新たに追加して、越境EC用のページを作成するのも手です。中国でサイトを立ち上げるのは権利や申請の面から難しいため、基本的には日本で立ち上げたサイトに中国人ユーザーがアクセスできるようにするパターンが多いでしょう。自社サイトなら自社のブランディングを全面に押し出すことも可能ですが、集客が難しく、サイトを周知するには中国マーケティングへの深い理解を必要とします。

越境ECを行っている事業者へ業務委託する

越境ECを得意とする事業者へ業務委託する方法もあります。サポートの範囲は業者ごとに異なりますが、基本的には自社サイトを運営する場合も、海外モールに出店する場合もサポートを受けることが可能です。

中国越境ECを成功させるポイント

越境ECでは、商品を出品するだけでは売上を伸ばすのは難しいでしょう。中国越境ECで成功するには以下のようなポイントを押さえておく必要があります。

SNSやKOLの活用が重要

中国マーケティングではSNSを活用することが重要とされています。スマートフォン普及率が高い中国では、若者を中心に多くの人がSNSを利用しており、もはや生活の一部となっています。SNSのユーザー数は、「WeChat」は10億人、「Weibo」は8億人に達するほどです。膨大なユーザーにアプローチできるSNSでの宣伝が注目されています。

また、中国マーケティングにおいてはKOLの活用も重要です。KOL(Key Opinion Leader)は、専門性の高いインフルエンサーのこと。ブログやSNS、ライブ配信などで商品を紹介し、フォロワーの購買行動を促します。中国は一般的なメディアよりも口コミが重視される傾向があるため、KOLによる宣伝は効果的です。

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現地のニーズに合った決済方法を導入する

決済方法は現地のニーズに合ったものを導入しましょう。決済方法がメジャーなものでないと、カゴ落ちにつながってしまいます。

中国では「Alipay」や「WeChat Pay」といったモバイル決済が主流です。また、「銀聯(ユニオンペイ)カード」も人気があります。本格的に中国越境ECを展開するなら、こうした決済方法の導入を検討しましょう。

イベントを見逃さない

中国には「春節(旧正月)」や「独身の日」など、大々的にセールが行われるイベントがあります。イベント期間は書き入れ時です。普段より在庫を多く用意したり、キャンペーンを実施したりしましょう。

関連記事:
中国の旧正月・春節とは? 伝統的な祝い方や特別な食事について徹底解説!

中国の規制緩和で化粧品に追い風|越境ECに関する4つの変更

中国では、越境ECに関する規制緩和も行われています。ここで内容を確認しましょう。

輸入許可手続きが不要

中国では、新規輸入品に関して通関証明書の提出が義務付けられており、また化粧品は輸入許可証が必要です。

ただし、こうした手続きは実務が煩雑化することから実施が延長されており、現状、化粧品の越境ECでは輸入許可証などを用意する必要はありません。今後、制度変更の可能性はあるので、最新情報をチェックしておきましょう。

越境EC可能エリアが拡大

中国は、越境EC可能エリアが政府によって決められています。越境EC可能エリアは徐々に拡大されており、2022年2月には追加で27か所が追加されました。これにより全国132の都市・地域で越境ECが可能となっています。

越境ECに関する輸入限度額の引き上げ

越境ECで購入できる限度額が、1回2,000元(約39,000円)から1回5,000元(約98,000円)に引き上げられました。

また、年間購入限度額も、1人あたり20,000元(約39万円)から26,000元(約51万円)に引き上げられています。取引限度額が上がったことで、越境EC事業が行いやすくなりました。

輸入関税優遇商品に29品目が追加

2022年に、輸入関税優遇商品(ポジティブリスト)に29品目が追加されました。ポジティブリストは、越境ECで販売できる商品一覧のこと。2022年の追加によって1,476品目がリストに含まれています。リストの追加は、越境EC活性化につながる規制緩和です。今後も定期的にリスト追加はされていく見込みなので、最新情報を調べるようにしましょう。

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