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このページのまとめ

  • 中国には1万社以上の日本企業が進出している
  • しかし、チャイナリスクや人件費の上昇によって進出企業数は減少傾向にある
  • 中国進出のメリットは、巨大な中国市場に販路開拓ができるところ
  • デメリットは、文化や認識の違いによってトラブルが発生しがちなところ
  • 政策の急激な変更、知的財産権の侵害など、いわゆるチャイナリスクに備える必要がある
  • 中国進出を成功させるには、最新の情報を調べてリスクに備えることが重要

中国進出を検討している事業者に向け、中国進出の動向やリスク、メリット・デメリットについて解説します。コラムを読んで、中国進出を成功させる方法をチェックしましょう。

また、本コラムを提供するレバレジーズキャリア中国では、在中日系企業様に向けて、中国のビジネスに対応できる人材を紹介しています。レバレジーズグループの人材マッチング・集客のノウハウを武器に、貴社にぴったりの人材をご提案致しますので、ぜひお気軽にご相談ください。

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日本企業の中国進出の動向

帝国データバンク「日本企業の「中国進出」動向調査(2022年)」によれば、中華人民共和国(香港・マカオ両特別行政区を除く)に進出している日本企業の数は、1万2,706社と発表されています。

1万社を超える多くの日本企業が中国でビジネスを展開しているのです。

一方、中国へ進出する日本企業は減少傾向にあります。進出社数が最も多かった2012年と比べると、進出社数は1,000社以上減少。特に、製造業で減少が顕著でした。

「人件費の上昇」や「チャイナリスク」で中国進出は減少傾向に

以前は、日本企業が中国に生産拠点を開設する動きが盛んでした。豊富な労働力や安価な人件費というメリットから、中国に生産拠点を設置する日本企業が多かったのです。

しかし、経済成長に伴う人件費の上昇、および環境規制強化によって採算性が低下したことで、生産拠点としての優位性は下がってしまいました。そのうえ、中国経済の変調をはじめとするいわゆる「チャイナリスク」もあることから、東南アジアや日本国内に生産拠点を分散させるサプライチェーンの再編が進んでいるのです。

2022年には、ゼロコロナ政策による長期のロックダウンで、中国に進出している日本企業にも予期せぬ悪影響が生じました。こうした中国情勢の不透明感や不信感も、中国進出に消極的となる理由の一つとなっています。

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中国進出のメリット

減少傾向にはあるものの、中国でビジネスを展開している日本企業は数多く存在します。それは以下のようなメリットがあるためです。

販路の開拓・拡大ができる

中国進出最大のメリットは、巨大な中国市場で新たな販路を開拓できるところにあります。

中国はGDP世界2位の経済大国です。ビジネスを拡大するうえで、中国をターゲットにするのは企業にとって妥当性の高い戦略といえるでしょう。

経済特区や開発区の優遇政策

中国には、経済特区や開発区など、ビジネスをするのに有利な地域があります。これらの地域では、事業支援金の給付が受けられたり、所得税が免除されたりと、資金面での優遇措置がとられています。優遇政策があることで、有利な条件で中国進出を実現できます。

比較的安価な人件費

人件費に関するコスト面のメリットは少なくなりつつありますが、それでも大都市でなければ比較的安価な労働力を確保することが可能です。特に内陸部は人件費が安価なので、製造業やIT系など、コストを抑えたい企業にとってはメリットといえるでしょう。

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中国進出のデメリット

中国進出は主に資金面のメリットがありますが、一方でデメリットになりうる要素もあります。中国への進出を検討する場合は、事前に押さえておきましょう。

中国進出に対する認識の違いでトラブルになる可能性がある

日本企業が中国に進出する場合、税制面の優遇を受けるために中国企業との合同出資で会社を立ち上げることがあります。

この際、日本企業は中国をビジネスの拠点として考え、長期的に利益を出そうとすることが多いでしょう。一方、中国企業の多くは日本の技術やノウハウを取り入れ、短期的に利益を出したいと考えることが多いのです。このような認識の違いによって、情報漏洩や契約をめぐるトラブルに発展する可能性があります。

文化や習慣の違いでトラブルになる可能性がある

日中の文化・習慣の違いでトラブルになる可能性があります。たとえば、日本では言いにくい内容を相手に伝えるとき、婉曲的に表現する文化がありますが、中国はものごとをはっきり伝える傾向にあります。そのため、意図がうまく伝わらず、両者の認識の違いからトラブルに発展してしまう可能性があるのです。トラブルを避けるためにも、現地の文化や習慣について理解しておくと良いでしょう。

法人設立の手続きが煩雑

中国では、事業を展開したり貿易を行ったりするのに必要な手続きが非常に煩雑です。完了までに時間やコストがかかる可能性があります。また、手続きには中国語や中国の法律についての理解も必要です。

中国は、政策や法規制が急に変更されることがあります。事前に調べていた手続き方法が変更されてしまい、トラブルになることもあるため注意しましょう。

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具体的な6つのチャイナリスクとその影響

チャイナリスクとは、中国特有の問題によって損失を被る可能性のある危険性のことです。中国は共産主義のもとでさまざまな制度が作られるため、日本にはないようなトラブルが発生することがあります。中国でビジネスを展開するには、チャイナリスクを理解して備えることが重要といえるでしょう。

政治に関するリスク

中国の政治に関するリスクは「政策や法規制の頻繁な変更」「外国企業の活動に対する制約の強化」などがあげられます。

近年の出来事でいえば、ゼロコロナ政策による活動制限で景気が低迷。中国進出中の日本企業にも大きな影響を及ぼしました。

経済に関するリスク

中国の経済に関するリスクは、人件費や物価の高騰があげられます。中国の人件費や物価は高騰を続けており、生産コストを下げるために中国進出を進めている企業にとってはリスクとなっています。

また、米中貿易摩擦の影響も懸念事項です。関税の引き上げによって、中国に生産拠点を置く製品や部品の生産コストが増加。日本企業の中国進出にも影響を与えています。

社会に関するリスク

中国の社会に関するリスクは「知的財産権の侵害」がよく知られています。模倣品や技術盗用による被害をはじめ、登録前の商品名を第三者が先に登録してしまう被害などが問題となっているため、注意が必要です。また、中国では知的財産権を重視する傾向が強まっており、今後は被害に遭うリスクだけでなく加害者側になってしまうリスクも把握しておく必要があります。

環境に関するリスク

中国の環境に関するリスクは、大気汚染や感染症流行による健康被害があげられます。中国の環境汚染は世界的な問題になっており、こうした環境によるリスクはビジネスにも影響を与えます。

中国の大気汚染情報については「中国の大気汚染の現状は? 健康への影響や大気汚染への予防策について解説」や「上海の黄砂の量は多い?少ない?影響や対策方法を紹介」で紹介しているので、ぜひご覧ください。

労務に関するリスク

中国では、「労働契約法」や「労働紛争調停仲裁法」によって、労働者の権利が厚く保護されています。そのため、労働紛争の発生件数が日本よりも多いです。人員削減が自由にできないというリスクもあるため、現地で従業員を雇用する際は注意しましょう。

労務に関する情報は「中国の労働法とは?労働時間や残業時間についてのルールを解説」で紹介しているので、興味のある方はご覧ください。

法務に関するリスク

法務に関するリスクとは、法令違反などによって処罰されるリスクのことです。中国の法律は適用範囲があいまいで、内容が矛盾している法律も存在します。また、地域によって法律の運用方法が異なるというケースも少なくありません。中国の法体系は日本よりも複雑なので、法務リスクに備えるには専門家のアドバイスを受けるのがおすすめです。

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中国進出を成功させるには?

中国進出を成功させるには、メリット・デメリットを把握したうえで、各種リスクに備えることが肝心です。ここでは、中国進出を成功させるためのポイントについて紹介します。

最新の情報を調べる

中国進出を成功させるには、中国の最新情報に関する調査が必要不可欠です。中国の法律や規制は頻繁に変更されます。それが日本企業にとって有利になることもあれば、デメリットになることもあるでしょう。法規制や経済状況など、中国の動向について情報収集を行い、常に最新情報を把握しておくことをおすすめします。

事業リスクを分析する

収集した情報をもとに、事業リスクを分析して対応方法を考案しましょう。まずは発生しうる事業リスクをすべて洗い出し、それぞれの発生確率や影響について検討します。次に、リスクに優先順位をつけて、対応すべきリスクを選定しましょう。すべてのリスクに備えるのは難しいので、効果的に対応できるようにします。優先度の高いリスクについては、回避手段を用意したり、発生したときのための保険を用意しておくと良いでしょう。また、リスクに対する回避・対応の両面からマニュアルを整備しておくことをおすすめします。

人間関係の構築に力を入れる

海外進出の際は、人間関係の構築に力を入れると良いでしょう。現地の情報を入手するには、業界団体や関連企業と良好な関係を築くのが重要です。また、従業員と日常的にコミュニケーションをとっていれば、労務リスクや法務リスクに供えられます。

グローバル戦略を練る

中国市場は、すでに各国から多くの企業が参入しており、競争が激化しています。そのため、成功するには明確な事業戦略が必要となります。市場の動向やニーズの調査、販売方法の選定、自社商品の強みの分析などを行い、適切なアプローチ方法を検討しましょう。

ビジネス展開の手段として越境ECを検討している方は「越境ECの始め方を解説! 商品選定から販売までの流れとは?」で詳しい方法を解説しているので、ぜひご覧ください。

専門家からアドバイスをもらう

中国でビジネスを展開するには、常に現地の情報を入手し、何か変化があれば適切に対応していかなくてはなりません。しかし、日本と中国は言語や商習慣が異なるほか、法体系にも大きな違いがあるため、独力で調査するのは難しい可能性があります。そのため、コンサルタントや弁護士、税理士など、中国のビジネス事情に詳しい専門家を活用すると良いでしょう。

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