このページのまとめ

  • 越境ECは海外向けのオンラインショップ。将来性の高さやリスクの少なさから注目されている
  • 中国のEC市場はアメリカの約3倍
  • 巨大な市場を有する中国は、越境ECをするなら見逃せない存在
  • 以前は「爆買い」で知られていた中国人消費者は、昨今は正規品や高品質な製品を求める傾向が強まっている
  • 中国越境ECでは、モバイル決済の導入や、インフルエンサーを活用した宣伝が効果的

中国越境ECへの参入を検討している方に向け、参入の方法や重要なポイントについて解説します。コラムを読んで、自社商品に適した販売方法を知りましょう。

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越境ECとは?

まずは越境ECの概要を解説します。

越境ECは海外向けのオンラインショップ

越境ECとは、国境を超えた海外向けのオンラインショップのことです。

ECは「Electronic Commerce」(電子商取引)の略称で、オンラインでの取引を意味しています。

越境ECの特徴は、実店舗を構えることなく海外販路を開拓できるところです。費用やリスク、手間を減らしつつ、海外展開が狙えます。

将来性の高い越境EC市場

経済産業省は、中国が越境ECで日本から購入した額は2兆1,382億円(2021年度)にもなるという推計を公表しています。巨大な越境EC市場への進出は、販路拡大に有効だといえるでしょう。

また、将来性の高さも越境ECの利点の一つです。世界の越境EC市場規模は、7,800億ドル(2019年)から4兆8,200 億ドル(2026年)まで、年平均30%という成長率で拡大するという予測も公表されています。越境ECの知名度の向上や、インターネット環境のさらなる普及により、今後も市場規模の拡大が見込まれているのです。

参照元

経済産業省「令和3年度電子商取引に関する市場調査

実店舗を持たずに海外顧客を獲得できる

越境ECのメリットは、実店舗を構えるコストやリスクを抑えつつ海外進出ができるところにあるといえます。

海外顧客が得られれば、顧客数が増えるということだけでなく、国外でニーズの高い商品を売り込めば売上アップも見込めるでしょう。また、海外販路を開拓することで、競合の少ない環境でビジネスを行うことも可能です。

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中国のEC市場規模

ここでは、中国のEC市場規模について確認してみましょう。

圧倒的な規模を誇る中国のEC市場

経済産業省の資料をもとに、BtoC-EC市場規模トップ5を確認してみましょう。

【国別EC市場規模(2020年)】

  • 中国:2兆2,970億USドル
  • 米国:7,945億USドル
  • 英国:1,804億USドル
  • 日本:1,403億USドル
  • 韓国:1,106億USドル

中国には、アメリカの約3倍ほどの規模をもつ巨大なEC市場があります。さらに、前年比の伸び率は約28%と、成長性も高いことも特徴です。

また、日本と取引が多い中国・アメリカの2国について、越境ECの購入額を確認してみましょう。

【三国間の越境EC購入額推計(2021年)】

  • 日本:3,727億円
  • 中国:4兆7,165億円
  • 米国:2兆409億円

日本・中国・アメリカの3国間の越境EC購入額についても、中国は圧倒的な市場規模を有しています。越境ECで海外進出を狙うなら、中国は見逃せない市場だといえるでしょう。

参照元

経済産業省「令和2年度電子商取引に関する市場調査
経済産業省「令和3年度電子商取引に関する市場調査

中国におけるECモールのシェア

中国のECモールのシェアトップ5は、以下のようになっています。

【中国ECプラットフォーム事業者のシェア】

  • Alibaba(阿里巴巴):50.8%
  • JD.com(京東):15.9%
  • Pinduoduo(拼多多):13.2%
  • Suning(蘇寧易購):1.6%
  • vip.com(唯品会):0.9%

Alibabaは、中国最大のオンラインショップ天猫(Tmall)を運営するほか、考拉海購(Kaola)を買収することで、国内ECモールの50%以上のシェアを占めています。中国は、ECモールの影響力が強く、自社サイトの売上が少なめなのが特徴です。

参照元

経済産業省「令和2年度電子商取引に関する市場調査

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中国の越境ECにおける売れ筋商品

中国の消費者は越境ECで以下のような商品を購入しています。

【中国の消費者が越境ECで購入している商品】

  • 化粧品・美容関連商品:40.6%
  • トイレタリー:38.2%
  • 健康商品:35.8%
  • 食品・飲料:32.1%
  • 家電:26.7%
  • 衣料・バッグ:25.2%
  • ベビー用品:23.0%
  • 家庭用品:19.1%
  • スポーツ・アウトドア用品:19.1%

中国の越境ECでは、化粧品やトイレタリー、健康商品などが売れ筋商品といえるでしょう。

中国の越境ECでは高品質な商品が求められる傾向にある

「中国の消費者が越境EC事業者に改善を望むこと」というアンケートでは、以下のような結果が出ています。

【中国の消費者が越境EC事業者に改善を望むこと】

  • 正規品である保証:55.7%
  • より多様な商品:51.9%
  • アフターサービスの改善:37.4%
  • 商品の品質改善:36.6%
  • 購入プロセスの簡略化:33.6%
  • 価格の低下:32.8%
  • 出荷の迅速化:22.9%
  • プライバシーの保護:12.2%

上記から分かるように、中国の越境EC利用者は、正規品や高品質な商品を求める傾向が強まっています。以前は中国人消費者といえば「爆買い」のイメージがありましたが、昨今は価格よりも品質を重視する市場に変化しているといえるでしょう。

日本製品は、品質の高さから世界的に人気の高い商品です。中国での需要も高いため、中国をターゲットにした越境ECでは、自社商品の販売効率アップが見込めます。

中国での越境ECの展開方法

中国での越境ECの展開にはいくつか方法があります。自社のビジネスの規模や、商品の特徴をふまえて、適切な方法を選択しましょう。

中国の越境ECモールへ出店する

中国で展開しているECモールに商品を出品する方法です。中国の主要なECモールであるTmall Global(天猫国際)やJD Worldwideなら、中国に法人を持たずとも出店ができます。

ECモールに出店する方法は、手軽さが魅力。さまざまなサポートが受けられるため、一からサイトを構築するよりも簡単です。また、集客力の高さも特徴にあげられます。大手ECモールは膨大なアクティブユーザーを抱えており、ユーザーからの信頼性も高いため、出店後すぐに集客が見込めるでしょう。一方、利用料や手数料がかかるというデメリットもあります。

ECモールに出店する方法は以下の2つがあります。それぞれの特徴とメリットを把握しておきましょう。

テナント型

テナント型は、多くのECサイトが並んで出店しているタイプのECモールです。実際のショッピングモールに近い出店の形態といえます。モールの設定したルールの範囲内なら、店舗のデザインを変更でき、自社サイトほどの自由度はないものの、独自性を打ち出すことが可能です。また、モールは基本的にスペースを提供するのみなので、受注管理や商品の登録は、出展した企業自らが行います。日本では楽天やYahoo!ショッピングが知られています。

マーケットプレイス型

マーケットプレイス型は、プラットフォームに各企業が出品するタイプのECモールです。商品を出品する形態のため、店舗という括りはあまりありません。商品データはモールが管理し、注文が入ってから出品者にデータが送られ、それに従い発送作業を行います。基本的に出品をするだけなので、越境EC参入のハードルは低めです。一方、サイトデザインを変更することはできないので、独自性を打ち出すのは難しいでしょう。日本ではAmazonが知られています。

自社ECサイトの構築

自社でECサイトを構築し、運用する方法です。自社のオリジナリティやブランディングを打ち出すことができるという強みがある反面、サイトの構築には技術や手間、費用が必要とされます。また、ターゲット国に応じた販売戦略を考えたり、決済方法を設定したりすることも必要です。自社ECサイトの構築には、一からサイトを立ち上げる方法のほか、サイト構築用のソフトウェアを活用したり、ECプラットフォームをレンタルしたりする方法もあります。

越境EC事業者に業務委託する

越境ECを行っている事業者に業務委託し、商品を海外へ届ける方法です。独自の販売経路で、店舗販売やEC販売を行います。

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中国での越境ECの配送方法

中国越境ECにおける主な配送方法は以下の2つです。

保税区モデル

自社商品を中国国内にある保税区(輸入時の税金が課税されない区域)にある倉庫に保管し、配送する方法です。注文から商品受領までの時間を短縮できるので、輸送コストの削減ができたり、通関手続きの安定性が確保できたりします。ただし、倉庫保管のコストがかかるので、売上が安定している商品に適したモデルといえるでしょう。

直送モデル

直送モデルは、国際スピード郵便(EMS)等を活用して商品を配送する方法です。保税区モデルと比較して、倉庫保管のコストがかからないため、小規模な取引に向いているといえます。

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中国越境ECにおける重要なポイント

中国での越境ECを成功させるには、以下のポイントを押さえておくと良いでしょう。

モバイル決済を導入する

中国はモバイル決済サービスが普及しており、現金を使う機会が少なくなっています。街でのショッピングや公共料金の支払い、ECサイトでの購入にもモバイル決済を利用しています。そのため、中国をターゲットに越境ECを展開するなら、モバイル決済の導入は必須といえるでしょう。モバイル決済サービスは、アリババグループの「Alipay」、チャットをしながらお金のやり取りができる「WeChat Pay」がメジャーです。

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インフルエンサーの活用が有効

中国は、一般的なメディアの信頼度が低いという特徴があります。ユーザーの口コミが重要視されるため、効果的な広告をするには、インフルエンサーやKOL(Key Opinion Leader)の活用が有効です。

特に注目されているのが、ECとライブ配信を組み合わせた「ライブコマース」というマーケティング手法。KOLが実演をしたり、解説をしたりすることで宣伝を行います。ライブ中に寄せられるコメントにすぐに対応できるため、ユーザー目線の動画配信が可能です。ただし、インフルエンサーを活用する際に注意したいのは、宣伝効果はインフルエンサーのフォロワー数や信頼度に依存するところ。基本的に、インフルエンサーの配信を普段見ているユーザーが商品実演を視聴するため、自社商品の特徴や知名度に適したインフルエンサーに依頼するようにしましょう。

OMO戦略が注目されている

OMO戦略(Online Merges with Offline)とは、オンラインとオフラインを融合した販売戦略です。たとえば、実店舗の決済をECプラットフォームで行えるようにしたり、反対にECプラットフォーム上で在庫情報を通知したりします。オンラインとオフラインが相互補完し合えるような戦略といえるでしょう。中国では、店舗にいながらオンラインで商品購入が行えるアリババグループのスーパーマーケット「フーマー・フレッシュ」など、OMO戦略が積極的に取り入れられています。

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