このページのまとめ
- 越境ECの世界的な市場規模は急成長している
- スマートフォンの普及により、越境ECの利用者が増えている
- 日本は越境ECによる購入額が少ない
- 中国は越境ECによる購入が盛んで、日本製品も数多く購入している
- 訪日中国人が帰国後に日本の商品をリピートするパターンが多い
- 日本製品は高品質として海外で人気がある
越境ECに興味がある方に向け、越境ECの市場規模や拡大予測について解説します。ネットインフラの普及によって、急成長中の越境EC市場。特に中国には、日本の数倍の巨大なEC市場が存在します。
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越境ECとは
越境ECとは、ショッピングサイトを活用して、海外の消費者に商品を販売する国際的な電子商取引のことです。
越境EC市場は拡大を続けています。スマートフォンが世界的に普及し、インターネットにいつでも接続できる環境が広まったことにより、ECサイトの利用が増加したのです。
越境ECは、実店舗を出店するコストやリスクを抑えつつ、海外顧客を開拓できることから、日本でも注目を集めるビジネスの一つとなっています。
越境ECはビジネスの仕方によって、主に以下の6種類があります。
- 海外向けの独自のECサイトを構築
- 進出先で独自のECサイトを構築
- 国内のECサイトに出品
- 相手国のECサイトに出品
- 保税区を活用し、ECサイトに出品
- 貿易手続きを行い、一般貿易型EC販売を行う
越境ECを始めるには、独自のECサイトを運営したり、既存の大手ECサイトに出品したりするのが一般的です。独自のサイトを構築・運営する方法は、コストやノウハウが必要なので、ビジネスの規模が大きい場合に選択されます。一方、ビジネスの規模が小さい場合は、国内外のECサイト・ECモールに出品するのが手軽な方法です。また、中国では保税区内の倉庫に商品を輸送しておく方法もあります。
越境ECの市場規模は?
経済産業省が2021年7月に公表した「令和2年度 産業経済研究委託事業(電子商取引に関する市場調査)報告書」によると、世界の越境ECの市場規模の予測は、以下のとおりです。
【世界の越境EC市場規模の拡大予測】
- 2019:7,800億USドル
- 2026:4兆8,200億USドル
越境EC市場は、7年で6倍以上に拡大すると予測されています。
市場が拡大している理由は、スマートフォンやPCの普及によりインターネット環境が整備されたことや、中国人消費者の消費意欲の高さが挙げられます。
日本、中国、アメリカ3ヶ国間の越境EC市場規模
日本、中国、アメリカの3ヶ国間の越境EC市場規模は以下のとおりです。
【日本・米国・中国3ヵ国間の越境EC市場規模】
日本→中国:1兆9,499億円
日本→米国:9,727億円
中国→日本:340億円
米国→日本:3,076億円
中国→米国:7,382億円
米国→中国:2兆3,119億円
上記を見ると、中国・アメリカで日本商品の購入が多いのに対し、日本は越境ECによる海外製品の購入に消極的なことが分かります。これは、日本語翻訳された商品が少ないことや、海外商品の購入に抵抗がある日本人が多いことなどが理由とされています。
また、中国の購入額の高さも特徴的です。中国の購入額は日米合わせて4兆2,617億円に上ります。これは伸び率で見ても前年比16.3%という増加具合です。調査期間はコロナ禍でしたが、越境EC市場の拡大が継続していることがうかがえます。
中国の越境EC市場
越境ECというビジネスを考える際、中国の巨大な市場は見逃せません。中国の越境EC事情について確認してみましょう。
越境ECとインバウンドの関係
インバウンド(訪日外国人観光客)消費と、越境ECの市場規模は深い関わりがあります。日本で買った商品を、帰国後にリピート購入することが多いからです。特に、爆買いで知られる中国人観光客は、この傾向が顕著にあります。
実際、日本貿易振興機構(ジェトロ)が2017年12月に公表した「中国の消費者の日本製品等意識調査」では、「越境ECで商品を購入する理由」というアンケート内容に対し、「日本に旅行をしたときに購入して気に入った製品だから」と答えた消費者が40.4%いました。日本での商品購入が、越境ECの利用に繋がっていることが分かる結果といえます。
なお、インバウンドが激減したコロナ禍においては、訪日ができないぶん越境ECの利用が増加した反面、訪日をきっかけとする商品購入は減少しました。
訪日中国人旅行消費額を越境ECの購入額が上回っている
国土交通省、観光庁が発表した「訪日外国人の消費動向」によると、コロナ禍以前の2018年の訪日中国人旅行消費額は、1兆5,450億円でした。同年の中国の越境EC購入額は3兆6,652億円だったので、日本で買い物をする金額よりも越境ECの購入額が上回る結果となりました。中国では越境ECが購入手段の一つとして浸透しており、今後も越境EC市場は拡大していくことが予測されます。
中国ECサイトのシェア
中国のECサイトは、上位3グループがシェアの約80%を占めています。
- Alibaba(阿里巴巴):50.8%
- JD.com(京東):15.9%
- Pinduoduo(拼多多):13.2%
中国人は、商品を探す際に検索エンジンではなくよく使うECサイトで調べる傾向があります。そのため、中国では自社サイトによる販売はあまり普及していません。越境ECで進出を考える際も、大手ECサイトの日本製品専用モールに出品するほうが有利といえます。
また、中国のモール出店には、国際スピード郵便(EMS)を利用する方法と、保税区を活用する方法があります。
国際スピード郵便(EMS)を利用する方法
受注後に、国際スピード郵便(EMS)を利用して商品を輸送する方法です。量やサイズに制限があるため、小規模の越境ECに適しています。発送費用が高くなりがちで、税関に時間が掛かることもあります。また、商品によっては法的に規制される可能性もあります。
保税区を活用する方法
商品をまとめて安く輸送し、保税区にある倉庫で保管する方法です。中国国内から商品を発送できるため、発送期間が短いうえ、ユーザーの安心感も高いのが特徴。倉庫の使用料を支払う必要があり、売れ残り商品は返送料金がかかるため、基本的には売れ筋の人気商品を販売するのに適した方法といえます。
中国人消費者が越境ECで購入する商品
越境ECに取り組む場合、現地のニーズを把握することが重要です。参考までに、中国人消費者が越境ECで購入している商品のアンケート結果は以下のようになります。
【中国の消費者が越境ECで購入している商品 】
- 化粧品、美容関連製品:40.6%
- トイレタリー:38.2%
- 健康商品:35.8%
- 食品、飲料:32.1%
- 家電:26.7%
- 衣料、バッグ:25.2%
- ベビー用品:23.0%
- 家庭用品:19.1%
- スポーツ・アウトドア用品:19.1%
中国の越境ECでは、化粧品やトイレタリーの購入が多いのが特徴的です。
中国、アメリカの決済方法
中国では、不正利用が多かったこともあり、クレジットカードはあまり普及してきませんでした。代わりに普及したのが、「アリペイ(支付宝)」などの第三者決済です。そのため、中国ではアリペイが使える大手モールの方が安心感があり人気があります。
一方、米国は「クレジットカード大国」と呼ばれるほどクレジットカードが普及しています。日本では現金支払いしかできないような飲食店や個人商店でも、キャッシュレス決済ができるほどです。越境ECサイトの決済方法についてもクレジットカードがメジャーで、シェアの半分以上を占めているとされています。
越境ECサイトを利用する理由
海外消費者が越境サイトを利用する理由を知れば、ビジネスの戦略に役立つかもしれません。
中国では「品質の良い正規品」のニーズが高い
中国消費者が越境ECを利用する理由で、主なものは「品質の高い正規品が買える」というものです。偽物商品が出回ることが多い中国では、常に品質の高い商品が求められています。
特に、中流階級以上の消費者の間では、クオリティの高い商品へのニーズが顕著です。高品質の日本商品は、こうしたニーズに応えることが期待できます。
多くの国で共通する理由は「安価で商品が買えるから」
越境ECを利用する主な理由は、低価格で商品が買えるという点です。アメリカや中国でも、安価で商品を手に入れたいという点では共通しています。
また、「自国にない商品が欲しい」というニーズも当然ながら存在します。
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