このページのまとめ
- 中国で会社を設立する際の進出形態は、現地法人や支店、駐在員事務所などがある
- 現地法人を設立する方法が主流となっている
- 支店の設立はハードルが高い
- 駐在員事務所は営業活動が認められていないため、市場調査を行う目的で設置されることが多い
- そのほかにも外資パートナーシップ企業の設置や、海外雇用代行の利用といった進出方法がある
中国進出を検討している事業者様に向け、会社設立の手段や手順、必要書類について解説します。コラムを読んで、中国進出の方法について検討しましょう。
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中国で会社設立する際の進出形態
中国で会社を設立する場合、主に以下のような進出形態があります。
現地法人(外商投資企業)
日本企業が中国進出する場合、現地法人を設立する方法が主流となっています。資本金が必要なところや、設立に関して制限が多いところはデメリットといえますが、設立さえしてしまえば比較的自由に経営できるというメリットがあります。
海外企業の進出において、以前は、いわゆる「外資三法」という特別法が適用されていました。しかし、2020年に「外商投資法」が施行されたことで外資三法は廃止。現状は、参入条件や参入手続き、適用される法律について、外資と内資の一致が図られています。
支店
日本企業の中国支店を設置するという形で中国進出をすることもできます。ただし、支店設立の際に必要な国務院の許可を得るのがネックになっており、実際は金融機関のみが認められているのが現状です。
駐在員事務所
駐在員事務所は、日本にある親会社の一部として扱われる進出方法です。現地法人や支店を設立するよりもコストを抑えることができる反面、中国で活動できる範囲が制限されるところがネック。契約交渉や受注、請求など、営業とみなされる行為はすべて禁止されています。そのため、市場調査を行う目的で設置されるパターンが多いです。
外資パートナーシップ企業
外資パートナーシップ企業は、外資を含む2者以上の出資者で構成されたパートナーシップです。出資者全員が会社の債務に対して無限責任を負う「ジェネラルパートナーシップ(外商投資普通合伙企業)」と、無限責任出資者と有限責任出資者で構成される「リミテッドパートナーシップ(外商投資有限合伙企業)」の2種類があります。
利益分配や責任負担の形式は出資者の合意に基づいて設定でき、パートナーシップ設立時に届け出を出さなければなりません。なお、最低一人が会社の債務に対して無限責任を負う必要があるため、リスクがある点は注意する必要があります。
海外雇用代行
海外雇用代行(GEO)は、現地法人を設立せずに、現地にある雇用代行サービス会社を利用して自社の事業を行う人材を雇用する方法です。社員の選定は自社で行いますが、税務申告や人事労務手続きなど、バックオフィス業務に関するコストがかかりません。リスクやコストを抑えつつ、速いスピードで事業展開できることから、海外進出の方法の一つとして注目を集めています。
参照
在中国日本国大使館「外商投資法について」
ジェトロ(日本貿易振興機構)「中国「外商投資法」の施行による外商投資企業への影響および実務対応 (2020年3月)」
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越境ECの始め方を解説! 商品選定から販売までの流れとは?
中国で会社を設立する流れ
中国で会社を設立する際のおおまかな流れは以下のとおりです。
1 |
企業名称の申請・登録 |
2 |
企業設立の申請 |
3 |
工商登記、営業許可証の取得(10営業日程度)
|
4 |
会社設立 |
また、ネガティブリストに該当する場合、「ネガティブリスト」制限類申請資料を提出したり、許可証を取得したりしなければなりません。
参照
ジェトロ(日本貿易振興機構)「外商投資企業設立手続に関するフローチャート」
◆関連記事
中国の労働法とは?労働時間や残業時間についてのルールを解説
中国での会社設立に必要な書類
ここでは中国で会社を設立するのに必要とされる主な書類について解説します。
現地法人(外商投資企業)の設立に必要な書類
- 設立会社登記(届出)申請書
- 会社定款
- 株主、発起人の主体資格証明書または自然人の身分証明書
- 法定代表者や董事、監事、マネジャーの就任証明書
- 住所(経営場所)の合法使用証明書
- 株主大会会議記録や創立大会の会議記録
- (公開株を発行する場合)国務院証券監督管理機構の発行する批准書類
- (「非法人」外国投資者のみ)外国投資者の信用証明
- (法、行政法規と国務院決定の規定により承認が必要な場合、または経営範囲について承認の必要がある項目を申請する場合)事前承認証明書または許可証明書の写し
- (ネガティブリストに該当する場合)審査機関の批准文書
支店の設立に必要な書類
- 支店登記(届出)申請書
- 営業場所の使用証明書
- 支店責任者の役職情報および身分証明書の写し
- 営業許可証の写し(会社の公印押印済のもの)
- (法、行政法規と国務院決定の規定により承認が必要な場合、または経営範囲について承認の必要がある項目を申請する場合)事前承認証明書または許可証明書の写し
駐在員事務所の設立に必要な書類
- 駐在員事務所設立申請書
- 外国企業の登記簿謄本
- 外国企業の定款等
- 外国企業が作成した署名権者に対する授権書または証明文書
- 駐在員事務所の首席代表、代表の委嘱書
- 外国企業と取引関係のある金融機構が発行した資金信用証明
- 首席代表、代表の履歴書
- 首席代表、代表のパスポートの写し
- 首席代表、代表の写真
- 事務所の駐在場所の合法的使用証明
- 認可機構の認可文書(駐在員事務所の設立にあたり、認可が必要な場合)
外商投資パートナーシップ企業の設立に必要な書類
- パートナーシップ企業登記(届出)申請書
- 全パートナーにより署名されたパートナー契約書
- 全パートナーの主体資格証明あるいは身分証明書
- 主要住所(経営場所)の合法使用証明書
- (法、行政法規と国務院決定の規定により承認の必要がある場合、または経営範囲について承認が必要がある項目を申請する場合)事前承認証明書または許可証明書の写し
- (法、行政法規が規定する特殊普通パートナーシップ企業を設立する場合)パートナーの職業資格証明書
外商投資パートナーシップ企業の支店の設立に必要な書類
- 支店登記(届出)申請書
- 支店営業場所の使用証明書
- 所属パートナー企業の営業許可証の写し(パートナー企業の公印押印済のもの)
- 全パートナーによる支店責任者の委嘱書およびその身分証明書の写し
- (法、行政法規と国務院決定規定により承認の必要がある場合、または経営範囲について承認の必要がある項目を申請する場合)事前承認証明書または許可証明書の写し
参照
ジェトロ(日本貿易振興機構)「中国 外国企業・駐在員事務所の設立手続き・必要書類」
中国で会社設立をする際の注意点
中国で会社を設立する際には、以下の点に注意しましょう。
企業名称には「地域」や「業種」を含む
会社設立の手続きを行う前に、企業名称(商号)の申請・予約を、市場監督管理部門に行わなければなりません。企業名称にはルールがあり、原則として、現地の地名と業種を名称に含む必要があります。基本的な構造は「地域+屋号+業種/事業の特徴+企業形態」です。
企業名称には漢字を用い、日本の企業名がカタカナや英語なら、似た意味の漢字や発音が似ている漢字を用いて企業名称を考えるのが一般的となっています。
参照
ジェトロ(日本貿易振興機構)「企業名称登記管理実施弁法」
最低資本金には目安がある
以前適用されていた最低資本金制度は、2014年の会社法施行によって原則として廃止されています。しかし実際は、地域によって最低資本金の目安があるのが現状です。資本金が十分でないと、活動が認可されなかったり、銀行口座の開設ができなかったりする可能性があります。資本金の目安は経営規模によっても異なるので、事前に調査しておきましょう。
なお、資本金の振り込みは会社設立後に行います。資本金が振り込まれたかどうかは中国の公認会計士による検査が必要となります。
飲食など許認可の申請は会社設立前に行う
飲食、設計、人材紹介など、許可が必要なものについては会社の設立前に許認可を取得する必要があります。日本は会社設立後に申請を行うので、手続きのタイミングに注意しましょう。
ネガティブリストに該当する場合は申請が必要
ネガティブリストとは、外商投資に対し設けられた特定分野の管理措置です。ネガティブリストには投資禁止の分野と投資制限の分野があり、制限分野に参入する際は商務部門の審査認可を得る必要があります。
参照
中华人民共和国国家发展和改革委员会「外商投资准入特别管理措施(负面清单)(2021 年版)」
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中国進出を成功させる方法とメリット・デメリットを解説
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