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このページのまとめ

  • 経済補償金は労働者の退職時に一括で支払う金銭のこと
  • 支払いのルールや金額は法律で決まっているので、会社が独自に決めることはできない
  • 労働者の過失による解雇などの場合、支払い義務がない
  • 経済補償金の支給額は「勤務年数1年ごとに1ヶ月分の給料」

中国で労働者の解雇を検討している事業者に向け、経済補償金のルールや計算方法について紹介します。コラムを読んで、解雇トラブルを事前に防ぎましょう。

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経済補償金とは

経済補償金とは、労働者の退職時に一括で支払う金銭のことです。労働契約が終了したときや労働者を解雇するときに、勤務年数に応じて支払います。

支払うルールや支払う金額は、労働契約法で決められているので、日本の退職金制度とは異なり会社が独自に決めることはできません。

経済補償金の支払い義務がない場合

経済補償金は必ずしも支給しなければならないわけではありません。労働者の過失による解雇などの場合には支払い義務がない場合もあります。

経済補償金の支払い義務が発生しないのは以下のような場合です。

  • 労働者が自己都合で退職する場合
  • 労働者が先に労働契約の解除を申し出た場合
  • 労働者の過失によって労働者を解雇する場合
  • 労働者が定年退職の年齢に達し、基本養老保険給付を受け始めて労働契約が終了する場合
  • 労働者が死亡する、または死亡・失踪が宣言された場合

上記に当てはまらず、会社都合で労働者を解雇する場合などには、労働契約の解除時に経済補償金を一括で支払います。中国で働く外国籍従業員についても、会社都合で契約解除をする場合は経済補償金を支払わなければなりません。

なお、中国では労働契約の解除・終了の事由が法律で決められています。解雇事由が限定されているため、労使間の約定に基づいて解雇すると違法解雇にあたる可能性があるため注意しましょう。

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経済補償金の計算方法

経済補償金として支給する金額は、「勤務年数1年ごとに1ヶ月分の給料」です。
労働契約法には以下のような計算方法が規定されています。

【経済補償金の計算方法】
経済補償金=(賃金月額)✕(勤務年数1年ごとに1ヶ月分)

賃金月額は、労働契約解除時の月給ではありません。労働契約の解除・終了時における直近12ヶ月の賃金を平均したものです。なお、勤務期間が12ヶ月未満の場合は、勤務月数に応じて平均賃金を算出します。

勤務年数の端数の計算

勤務年数は満1年ごとに1ヶ月分で計算します。ただし、6ヶ月以上~1年未満の部分については1ヶ月分、6ヶ月未満の部分については0.5ヶ月分で計算します。

【例】
賃金月額:5,000元
勤務年数:4年3ヶ月

  • 基準になる勤務年数
    4年3ヶ月→4.5ヶ月分
  • 経済補償金の計算方法
    5,000元✕4.5ヶ月分=経済補償金22,500元

経済補償金の上限と下限

経済補償金には上限と下限が定められています。労働者の賃金月額が、企業が所在する地域の前年度平均月賃金の3倍を上回る場合、3倍が上限です。また、経済補償金の計算は勤務年数12年分が上限となります。

【例】
賃金月額:20,000元
勤務年数:5年10ヶ月
企業所在地の前年度平均月賃金:5,000元

  • 基準になる賃金月額
    20,000元>上限15,000元(5,000元✕3)→15,000元
  • 基準になる勤務年数
    5年10ヶ月→6ヶ月分
  • 経済補償金の計算方法
    15,000元✕6ヶ月分=経済補償金90,000元

なお、経済補償金の基準となる賃金月額には下限があります。企業が所在する地域の最低賃金を下回ってはいけません。

計算よりも高額な経済補償金を支払う場合が多い

上記で紹介した経済補償金のルールは、あくまで最低金額を決めるものであり、より高い金額を支払うことも可能です。実際、スムーズに精算を進めるため、多くの企業で経済補償金を上乗せして支給するのが慣習となっています。特に人員削減を目的とした整理解雇の場合、多額の上乗せをすることも少なくありません。上乗せ分がないと労務問題の解決に時間がかかる可能性があるため留意しておきましょう。

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経済補償金にかかる個人所得税

金額によっては経済補償金にも個人所得税が発生します。企業が所在する地域の前年度平均賃金の3倍以内であれば免税になりますが、それを超える部分については課税対象です。超過部分を勤務年数で割り、税額計算を行います。経済補償金の個人所得税は、企業に源泉徴収の義務があるため注意しましょう。

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