このページのまとめ
- 中国では仕事よりも家族を大切にする傾向があり、定時で帰宅する人がほとんど
- 中国人は効率重視で仕事をするため、日本のビジネスマナーのような習慣はほぼない
- 中国で仕事をする際は、中国語スキルは必須ではないが身につけたほうが有利にはたらく
- 中国で仕事をするには、駐在員として派遣される方法と現地採用に応募する方法がある
中国は世界第2位のGDPを誇る経済大国であり、日本のビジネスとも強い結びつきがあることから中国で仕事をすることを考えている人も多いでしょう。中国には10万人を超える日本人が在留しており、国境を越えて働くハードルは比較的低く感じるはず。とはいえ、文化の違いを理解しないまま働こうとすると上手くいかないこともあります。中国で仕事をする際は、考え方の違いをしっかり把握しておきましょう。
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中国と日本で異なる仕事への考え方
日本で生まれ日本で育っていると他国との文化の違いに気づきにくいものですが、仕事の取り組み方に関しては海外と特に差があると言われています。日本の感覚のまま中国で仕事をした場合、違和感ややりづらさを感じることも。以下で、中国と日本の仕事に対する考え方の違いを解説します。
仕事よりもプライベートが優先
日本では「与えられた仕事は絶対」という考え方を持つ人が多くいますが、中国では仕事よりも家族を大切にします。日本人の仕事への取り組み方は「日本人は勤勉で仕事が好き」というイメージを与えるほどだそう。日本では残業をしてでも業務を終わらせる習慣があるものの、中国では残務の有無に関わらず定時でサッと帰る人が大半です。日本人からすると「仕事が残っているのに…」と思ってしまいがちですが、プライベートを優先する文化が根付いていることを理解しておきましょう。
仕事は効率重視
日本は礼儀作法を重んじる習慣があるためビジネスマナーが多々存在しますが、中国ではあくまでも効率重視。ビジネスメールは前置きせず用件だけを書いたり、会議が5~10分程度で終わったりすることもあります。1つ1つのやりとりを丁寧に行う日本人からすると、「冷たい」という印象を抱いてしまいがちですが、中国人にとっては“不要なやりとり”です。「行(中国語でOKです)」など、ポンと1文字だけ書かれたメールが来ても「失礼だ!」とは捉えないようにしましょう。
この先起こり得ることをあまり推測しない
中国人はその場であったり、近い未来のことまでしか把握しない傾向があると言われています。日本人の場合は、「この選択をしたらこの先どのようなことが起こる可能性があるか」「◯ヶ月後に◯◯をする必要がある」など、常に先を見越しながら仕事をする傾向がありますが、中国ではその習慣はほとんどないようです。数ヶ月先の約束を取り付けた場合、忘れられてしまうこともあるそう。
特に仕事中に「進捗は大丈夫?」と確認する際は要注意。「大丈夫!」と返ってきてもそれは「(“今”問題は起きていないから)大丈夫」ということです。日本にいる感覚で任せきりにするとトラブルにつながる可能性もあるので、こまめな確認やリマインドを心がけましょう。
転職を前提に仕事をしている人が多い
日本では長く働くことを前提に入社するのが一般的ですが、中国は転職を前提に仕事をしている人が多くいます。中国では日本とは違い、終身雇用という慣行が根付いていません。中華人民共和国労働契約法(訳:日中経済協会)では3回目の契約更新を行った場合は無期雇用とすることが義務化されていますが、1回の期間の長さに定めはなく、企業によって異なります。
期間に定めのある雇用契約が一般的ということもあり、条件が良い仕事や今より評価をしてもらえそうな会社が見つかればあっさり転職を選択するので、その様子に驚く日本人も多いようです。
お客様は神様という考え方はしない
「お客様は神様」と考える日本とは違い、中国ではもてなす側が偉いと考えます。日本の礼儀正しさは世界からも一目置かれているレベル。実際、首相官邸が公開している資料では、多くの国の人が日本人に「親切・礼儀正しい」というイメージを持っていることが見てとれます。
中国人がお客様へ接している態度を見て、日本人はヒヤヒヤすることもあるようですが、現地ではそれが当たり前のことなので気にしすぎないようにしましょう。仕事で自身がもてなされる側に立った場合も、理解が大切です。
仕事以外のシーンにおける中国と日本の文化の違い
中国と日本での文化の違いは、仕事以外の場面でも多々あります。仕事で中国現地に行った際に戸惑わないよう、日常生活での文化の違いも把握しておきましょう。
日本よりも時間の考え方がアバウト
中国ではあまり時間概念がなく、待ち合わせなどは遅刻が当たり前と考えている人が大半。日本では時間よりも少し先に到着するのがマナーとされていますが、中国では習慣が異なるので遅刻を責めないようにしましょう。なお、自宅に招かれた場合も早く到着するのは迷惑がかかるとされているので、少し遅れて行くのがマナーです。
お財布を持ち歩くことがほとんどない
中国では電子決済が主流となっており、店舗によっては現金決済を受け付けていないところもあるので注意しましょう。中国は電子決済の普及状況が世界第2位(2021年9月現在)で、「電子決済大国」と言われているほどキャッシュレス化が進んでいる国です。中国で仕事をする際は、Alipay(支付宝/アリペイ)やWeChat Pay(微信支付)など中国でシェア率の高い電子決済の準備をしておいたほうがスムーズでしょう。
中国では食べ残すことがマナー
日本では出された食事は残さないのがマナーとされていますが、中国では少し食べ残すのがマナーです。すべて食べ切ってしまうと「全然足りませんでした」という意味に受け取られ、失礼にあたるとされています。少しだけ残すことで「食べ切れないほど十分にいただきました」という意味になるので、日本との文化の違いに気をつけましょう。なお、たくさん残すと「口に合わなかった」を意味し、それもまた失礼になるので少量残すようにします。
年齢は数え年で答える
中国では生まれた年を1歳とカウントするため、年齢を聞かれた際は数え年で年齢を答える慣習があります。日本にいる感覚で年齢の話をすると話が食い違う可能性もあるため、中国では数え方が違うことを頭に入れておきましょう。
中国で仕事をするには中国語は必須?
中国で仕事をするにあたって、中国語の習得は必須ではありません。しかし、中国語を話せたほうが選択できる職業の幅が広がることも事実です。また、中国の就労ビザの発給には人材レベルの審査があり、中国語レベルが高いほど加点を得られ、審査に通りやすくなります。中国語レベルのみで判断されるわけではありませんが、ある程度の勉強はしておいたほうが中国現地での生活もスムーズです。
初級レベルの中国語ができれば接客業、中級レベルであれば事務職や営業職などの仕事ができると言われています。上級レベルになると、通訳・翻訳者としての活躍も可能です。「中国語は就職に有利?必要なレベルや語学力を活かせる仕事も解説」では、中国語のレベル別におすすめの仕事を詳しく解説しているので、あわせてチェックしてみてください。
中国で働く際の仕事の探し方
中国で仕事をする方法には、駐在員として派遣される方法と現地採用に応募する方法があります。駐在員として働きたい場合は、まず中国支店を展開している日本の企業へ就職しましょう。駐在員は倍率が高いポジションのため専門性や語学力を磨く努力が必要ですが、その分給与が高く安定性も高いのが特徴です。
一方、中国の現地採用の場合は、駐在員に比べてハードルが低めであるため語学力や専門性に自信がない方でも比較的仕事が見つかりやすいでしょう。ただし、中国現地の仕事には薄給な求人も多々あるため、事前の確認や見極めが大切です。
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