このページのまとめ
- 中国で商品を販売する際は代理販売をするのが一般的な方法
- 契約内容が、販売店契約なのか代理店契約なのか要チェック
- 中国の独占禁止法や不正競争防止法に違反しないよう注意
- コピー品や横取り申請に対策するためにも、商標登録は早めに行う
- 信頼できる代理店パートナーを見つけることが重要
- 信用調査を行うことで、信頼できる代理店パートナーを探せる
中国の販路開拓を検討している事業者に向け、代理店契約に関する基本情報を解説します。コラムを読んで、代理店契約をするうえでのリスクや注意点について押さえておきましょう。
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中国で商品を販売する方法は「代理販売」が一般的
中国で商品を販売する方法は大きく分けて「直接販売」と「代理販売」の2つの方法があります。
直接販売は、自社が顧客に直接販売する方法です。たとえば、顧客と積極的に交流を行って関係性を構築したり、顧客の意見を商品開発に活かしたりしたい場合は適しているでしょう。
代理販売は、販売業務を代理店に委託する方法です。委託にはコストがかかりますが、代理店の販売網を活用して売上アップを狙うことができます。
中国は国土が広く、地域によって商習慣も異なるため、日本企業が販路開拓をするうえでは代理販売を行うのが一般的です。
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「販売店契約」と「代理店契約」の違い
「販売代理店」という言葉があるように、日本においては販売店と代理店に明確な違いがありません。
これは中国も同様で「販売店(distributor)」と「代理店(agent)」が区別されていないことも多いです。しかし、契約内容が明確でないと将来的にトラブルに発展する可能性があります。トラブルを避けるためにも、販売店契約と代理店契約の違いを押さえておきましょう。
販売店契約(Distributorship Agreement)
販売店は、メーカーから商品を購入して顧客に販売するビジネスです。商品を購入して販売するので、顧客への責任は販売店に生じます。代金回収リスクや在庫リスクを負うのも販売店です。
販売代理店契約といえば、中国ではこの販売店契約を指すことが多いです。
代理店契約(Agency Agreement)
代理店契約は、顧客をメーカーに紹介し、販売代行を行うビジネスです。販売を代行するだけなので、責任はメーカーが負います。代金回収リスクや在庫リスクについてもメーカーが対応しなければなりません。
販売店契約をするつもりで代理店契約をしてしまうと、本来販売店が負うはずのリスクや責任を自社で負担しなければならなくなります。契約を結ぶ際は権利や義務について明確になるよう確認しましょう。
販売代理店を活用する際の注意点
中国の販売代理店を活用する際は、以下のような点に注意しましょう。
食品は賞味期限が長いものしか扱えない
食品を販売する場合は、基本的に賞味期限が長いものしか扱えません。中国は国土が広く、配送に時間がかかるうえ、輸入手続きにも時間を要するためです。具体的には、賞味期限が1年以上あるのが前提。また、賞味期限6カ月未満の食品を扱うのは困難となります。
ノウハウや技術の流出に注意
中国の販売代理店と契約する際は、ノウハウや技術の流出に注意しなければなりません。付き合い方を間違えると、自社で築き上げてきたノウハウをすべて代理店に持っていかれてしまうリスクがあります。技術流出を避けるためにも、自社の技術ノウハウを洗い出して、重要度別に具体的な対策を講じるようにしましょう。
独占禁止法や不正競争防止法に違反するリスクがある
販売代理店契約をするうえでは、中国の独占禁止法や不正競争防止法に違反しないよう配慮しなければなりません。中国では競争法規制の整備が進められているため、中国進出の際はリスク分析の必要性が高まっています。実務上では、市場の分割などに注意が必要です。特に、関連市場でシェアが高い場合には注意しましょう。
代理店の販売条件はそれぞれ異なる
中国は地域によって販売チャネルや商品が異なるため、メーカーは複数の代理店を利用することがあります。このとき、代理店はそれぞれ異なる販売条件を設定しているため、注意が必要です。知名度の低い商品などは、プロモーション料が加算されて高い販売条件が求められることがあります。
商標登録を行う
中国では、第三者による横取り商標登録や、似た名称の商標登録、コピー商品の流通といった問題が発生することがあります。こうしたトラブルに備えるためにも、商標登録は早めに行っておきましょう。
日本では先使用権が認められているので、他者が商標権を登録しても、すでに商品やサービスが知られていれば、その商標を継続して使用することが可能です。一方、中国は先願主義なので、先に申請したほうが一方的に有利となります。そのため、中国でビジネスを展開する予定があるなら、商標登録を行っておくほうがベターです。「中国商標網」のWebサイトでは、登録されている商標や類似商標、商標の状態などが調べられます。出願前に事前調査をしましょう。
なお、中国は商標登録の申請件数が膨大なため、審査にはおよそ1~2年ほどかかかります。時間がかかるものと考えておきましょう。また、台湾、香港、マカオでは、個別に商標登録しなければなりません。
信頼できる代理店パートナーを探す
販売代理店の活用にはさまざまなリスクがあります。たとえば、代理店に販売権を活用する実力がないケースや、自社の意図が代理店にうまく伝わらないケース、代理店が商品を勝手にセール販売してしまうケースなどが挙げられます。こうしたリスクを抑えるためには、信頼できる代理店パートナーを探すことが肝心です。
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信用度の高い販売代理店の探し方
信用度の高い販売代理店を探すには、企業の信用調査を行う方法が効果的です。信用調査の方法はさまざまあり、独自の調査ルートを有する調査会社に依頼したり、信用調査を行っている弁護士に依頼したりする方法があります。
信用会社の調査方法はおおむね共通です。工商局や税務局、統計局などのデータベースを照会する調査をはじめ、Webサイトや紙メディアの情報を利用した調査などを行っています。信用調査協会に登録されている信用調査会社なら、政府部門のデータベースから一般が入手できない詳細情報も入手可能です。
弁護士は、弁護士勤務証明書(律師執業証)を提示することで工商局から詳細な会社情報を入手することができます。
そのほか、企業の基本データであれば工商局のデータベースで調べることが可能です。中国の企業・個人であれば原則誰でも利用できるので、活用しましょう。会社の種類や登録資本金、出資者などを調べることができ、場合によっては経営状況報告書が入手できることもあります。
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販売代理店契約の解除について
販売成績の良くない販売代理店について、契約を解除することは可能です。中国には代理店保護法がないので、契約解消にあたっての正当理由や補償金に関する法令・ルールは存在しません。
ただし、メーカーに責任がないというわけではないため注意が必要です。複数回更新がなされた契約を、正当な理由なく解除する場合、補償を請求される可能性があります。
リスクなく契約を解除できるようにしておくためにも、販売代理店と最初に結ぶ契約は1年程度の短めなものにしておくことをおすすめします。また、自動更新に関する内容も設定しておかないほうが無難です。
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