このページのまとめ
- ベトナムの最低賃金は日本円で月額約1万9,890円
- ベトナムの最低賃金は国家賃金審議会にて議論され、12月頃に正式決定する
- ベトナムでは2021年は最低賃金は引き上げなし、2022年も据え置きとなった
- 中国、インドネシア、マレーシアはベトナムよりも最低賃金が高い
- タイ、カンボジア、バングラディシュはベトナムの最低賃金とほぼ同額
日系企業の進出先として人気の高いベトナムの最低賃金はどれぐらいなのかを詳しく解説。進出企業からは労働コストの低さが魅力の一つと捉えられていますが、実際のベトナムの最低賃金を知ることで、現地の経済状況をイメージしやすくなるでしょう。コラムではベトナム以外の国の最低賃金についても紹介しています。ベトナムで働いてみたいと検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。
ベトナムの最低賃金は日本円で月額約1万9,890円
日本貿易振興機構(JETRO)の発表によると、2021年1月時点でのベトナムの最低賃金は以下の通りの結果です。
(1ドン=約0.0045円で換算)
区分 | 地域名 | 最低賃金(ドン) | 日本円換算例 |
第1区域 | ハノイ市、ホーチミン市、ハイフォン市など | 442万 | 約1万9,890円 |
第2区域 | バクニン省、ダナン市など | 392万 | 約1万7,640円 |
第3区域 | ハナム省など | 343万 | 約1万5,435円 |
第4区域 | 第1~3区域以外の地域 | 307万 | 約1万3,815円 |
引用元:日本貿易振興機構(JETRO)_ビジネス短信
上記の通り、ベトナムの最低賃金は日本円に換算すると1万3,815円~1万9,890円程度となります。ベトナムでは例年1月1日付で最低賃金の改定が行われていましたが、2021年は前年の金額を継続する形となりました。改定が見送られた背景には、2020年に世界的に流行した新型コロナウイルス感染症による経済の不況が挙げられます。以降、ベトナムの最低賃金の引き上げにおける審議はストップ中です。
最低賃金の決定方法
ベトナムの最低賃金は国家賃金審議会にて議論され、例年12月頃に正式決定されます。決定した最低賃金は翌年の1月1日以降反映される仕組みです。審議会は「労働傷病兵社会省」「ベトナム商工会議所」「労働総同盟」の三者によって構成されており、夏から秋にかけて提案や議論が行われます。
ベトナムの最低賃金の推移
2021年は据え置きとなったベトナムの最低賃金ですが、これまでは見直しが行われるたびに引き上げられてきました。以下は2016年~2020年までのベトナムの月額の最低賃金の推移をまとめた表になります。
賃金/月
区分(※1) | 2016年 | 2017年 | 2018年 | 2019年 | 2020年 |
第1区域 | 350万ドン | 375万ドン | 398万ドン | 418万ドン | 442万ドン |
第2区域 | 310万ドン | 332万ドン | 353万ドン | 371万ドン | 392万ドン |
第3区域 | 270万ドン | 290万ドン | 309万ドン | 325万ドン | 343万ドン |
第4区域 | 240万ドン | 258万ドン | 276万ドン | 292万ドン | 307万ドン |
引用元:日本貿易振興機構(JETRO)_最低賃金比較
(※1)地域名に関しては前項の表をご参照ください
2019年から2020年の改定における上昇率は平均5.5%。各地ごとの結果を見ると、第1・2区域では5.7%、第3区域では5.5%、第4区域では5.1%となっています。
最低賃金の上昇率の推移
以下はベトナムの最低賃金の上昇率の推移を追ったグラフです。
引用元:日本貿易振興機構(JETRO)_ビジネス短信
結果を見てわかるとおり、2018年以降は低めの水準を推移する形で落ち着いています。なお、2020年以降の最低賃金の引き上げの見送りについては民間企業に限らず、公務員においても同様の措置が取られました。新型コロナウイルスによる経済の不況を受け、歳出の増加と歳入の減少によって財政がひっ迫したことに起因しています。
ベトナムよりも最低賃金が高い国
アジアの中でも最低賃金が高い国は中国、インドネシア、マレーシアの三国です。それぞれ詳しく追っていきましょう。
中国の最低賃金は約2万6,350円~4万4,030円
中国もベトナムと同様、最低賃金額は地域によって異なります。以下は各地域の月額最低賃金をまとめた表です(2021年9月末時点)。
最低賃金(元) | 地域 |
2,590 | 上海市 |
2,320 | 北京市 |
2,280 | 浙江省、江蘇省 |
2,200 | 広東省(深セン市) |
2,180 | 天津市 |
2,100 | 広東省(広州市) |
2,010 | 湖北省 |
1,950 | 陝西省、寧夏回族自治区 |
1,910 | 遼寧省、山東省 |
1,900 | 新疆ウイグル自治区、河北省、河南省 |
1,880 | 山西省 |
1,860 | 黒龍江省 |
1,850 | 江西省、チベット自治区 |
1,820 | 甘粛省 |
1,810 | 広西チワン族自治区 |
1,800 | 福建省、重慶市 |
1,790 | 貴州省 |
1,780 | 吉林省、四川省 |
1,760 | 内モンゴル自治区 |
1,700 | 湖南省、青海省 |
1,670 | 雲南省、海南省 |
1,550 | 安徽省 |
引用元:日本貿易振興機構(JETRO)_ジェトロ「ビジネス短信」添付資料
中国の最低賃金は日本円で約2万6,350円~4万4,030円(1円=約17元)。ベトナムの約1万9,890円と比較すると、どの地域においても中国の方が高いことが分かります。
インドネシアの最低賃金は約3万7,572円
インドネシアでは2021年11月に翌年の最低賃金額が発表されました。もっとも高い地域(西ジャワ州ブカシ市)は月額481万6,921ルピアで、日本円に換算すると約3万7,572円となります(1ルピア=約0.0078円)。なお、もっとも最低賃金が低い中部ジャワ州の約14,141円と比べると、ベトナムが約5,000円ほど上回る結果です。ちなみに前年に比べてもっとも増加率が高かったのはジョグジャカルタ特別州(4.30%増)で、 日本円にすると約14,359円でした。
参照元:日本貿易振興機構(JETRO)_ビジネス短信
マレーシアの最低賃金は約3万2,400円
マレーシアでは2020年に都市部を中心とした最低賃金の引き上げが行われ、全国57の地方自治体において月額1,200リンギとなりました。日本円に換算すると約3万2,400円に相当します(1リンギ=約27円)。2019年時点で政府は2018年からの5年間において、1,500リンギへの引き上げの実現を目指すものとしていた向きがあり、今後さらなる引き上げも予想されます。
参照元:日本貿易振興機構(JETRO)_ビジネス短信
ベトナムと最低賃金がほぼ同額な国
カンボジアとタイはベトナムと最低賃金がほぼ同額となっています。カンボジアの2022年の最低賃金は月額194ドルと、日本円で約1万9,400円。タイでは2020年以降、もっとも高い地域で日額336バーツ(日本円で約1,008円/1バーツ=約3円)となる最低賃金の引き上げが発表されました。仮に1ヶ月の労働日数を20日とした場合、月額約20,160円となり、ベトナムの約1万9,890円とほぼ同額といえる金額となります。
また、ベトナムよりやや下回るものの、バングラディシュも地域や業種、職種によってはベトナムと同額の最低賃金となっています。ジェトロが公表しているバングラディシュ労働法に基づく最低賃金表によれば、第一グレードに認定された場合は月額18,257タカ。1タカ=約1円ですので、日本円に換算した月額最低賃金は約1万8,257円となります。ベトナムの最低賃金にほど近い金額といえるでしょう。
参照元:日本貿易振興機構(JETRO)_ビジネス短信、ビジネス短信
このコラムで紹介したのはベトナムの「最低賃金」についてです。実際には日本での就労と遜色なく、場合によってはもっと高い収入を得られることもあるでしょう。
ベトナムの平均年収が気になる方は「ベトナムの平均年収は?地域別の年収や年収が高い業界も解説!」のコラムがおすすめ。給与事情について詳しく解説しています。
また、「ベトナムの税金は高い?日本人の場合はどうなる?区分や種類を解説」のコラムではベトナムの税金制度を紹介していますので、現地での収入イメージをより具体的にしたい方は、こちらも参考にしてみてください。
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