このページのまとめ
- 中国の現地採用で求められるのは、語学力や経験があって即戦力となる人材
- 中国の現地採用で高い給与を得たい場合は、大企業で管理職を目指すのが有効
- 雇用の不安定さは注意が必要だが、将来のキャリアアップに活かしやすいメリットがある
- 中国現地の求人を探す際は、中国での採用を支援しているエージェントの活用がおすすめ
世界有数の経済大国である中国で働くことに興味がある方も多いでしょう。中国現地には求人が多く、就職へのハードルが日本より低めとされているものの、給与水準や労働法など日本とは異なる部分があるため、それらを把握した上で応募を考えることが大切です。このコラムでは、重視されるスキルや給与事情、メリット・デメリットを解説するので、中国の現地採用への応募を視野に入れている方は参考にしてみてください。
また、本コラムを提供するレバレジーズキャリア中国では、日本人の方の、中国での就職・転職活動を無料でサポートしています。スムーズな就職・転職を叶えたい方、希望の条件に合った就職・転職をしたい方は、ぜひご相談ください。
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中国で現地採用されるために必要なスキル
日本では未経験でもポテンシャルを見込んで採用してもらえることも多々ありますが、中国現地で働くには語学力や経験が求められます。以下で必要とされる具体的なレベルについて解説するので、中国現地の求人に応募する前に、まずは求められるスキルが自身に備わっているか確認しておきましょう。
中国語スキル
中国語スキルは必須ではないものの、ある程度会話ができるレベルが望ましいとされています。就労目的で中国に入国する際はZビザが必要になりますが、Zビザは審査に通らないと発給されません。審査は点数化された複数項目の合計点によって行われ、その中に中国語レベルの項目も含まれます。以下の表のように中国語検定(HSK)の取得級によって点数が変わるため、現地でのコミュニケーションをスムーズにするためはもちろん、ビザの取得のためにも中国語は習得しておいたほうが賢明です。
【ビザ発給に関する評価基準(抜粋)】
基準・条件 | 点数 |
中国語で授業が教えられる大学卒及びそれ以上の学歴 | 5点 |
5級およびそれ以上 | 5点 |
4級 | 4点 |
3級 | 3点 |
2級 | 2点 |
1級 | 1点 |
(※2021年8月時点)
なお、中国で働く外国人人材レベルとしてふさわしいとされているのは、総点60点以上の人材です。Zビザの審査に関するそのほかの条件については、「中国の就労ビザの申請方法とは?種類や必要書類についても解説!」で詳しく解説しているので、チェックしてみてください。
経験
中国現地で働く際は、2年以上の職務経験がある人材が望ましいとされており、中国語レベルと同様Zビザ取得のための審査基準としても定められています。中国が外国人就労者を採用する目的は、国内で不足している技術を補い、国の発展へとつなげるため。未経験者は中国現地で働けないというわけではありませんが、基本的に求められるのは即戦力であることを頭に入れておきましょう。業務経験ごとの具体的な点数は以下のとおりです(参照:BTMU(China)実務・制度ニュースレター)。
基準・条件 | 点数 |
2年を超える場合、1年間ごとに1点追加 | 20点(満点) |
2年間 | 5点 |
2年間未満 | 0点 |
(※2021年8月時点)
なお、外国人就労者のレベル分けをする制作は2017年から実施されたものであり、2021年現在ではエリアによって解釈が異なる場合もあるようです。中国現地の求人に応募する際は、認可基準の解釈についても企業に聞いておくと安心でしょう。
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中国の現地採用の給与事情
「中国の現地採用は給与が安くて損」と噂されることもありますが、中国では労働力不足を理由に年々最低賃金の引き上げが実施されています。しかし、国税庁が発表した2019年度の平均年収が436万円である日本の給与と比べると全体的に低賃金であることも事実です。以下で、中国都市部の給与について解説するので、給与相場について知っておきましょう。
中国都市部【民間企業】平均年収
中国国家統計局が公表した2020年度のデータによると、都市部の民間企業に勤める従業員の平均年収は57,727元でした。日本円に換算すると約98万1,369円(1人民元=17円で算出)。
なお、業界別の年収は以下のとおりです。
【産業別の都市部民間企業の平均年収(一部抜粋)】
業界 | 2020度 | 2019年度 |
情報伝達、ソフトウェアおよび情報技術サービス産業 | 101,281 | 85,301 |
金融業界 | 82,930 | 76,107 |
科学研究および技術サービス産業 | 72,233 | 67,642 |
製造 | 57,910 | 52,858 |
卸売と小売り | 53,018 | 48,722 |
電気、熱、ガス、水の生産と供給 | 54,268 | 49,633 |
(単位:元)
業界別の平均年収を見てみると、2020年度で最も年収が高かったのは「情報伝達、ソフトウェアおよび情報技術サービス産業」であり、日本円に換算すると約172万円です。
日本の給与相場からすると低く感じてしまいますが、2019年度のデータを見るとほとんどの産業で賃金成長が見られ、今後の成長率にも期待が持てるでしょう。
中国都市部【非民間企業】平均年収
中国国家統計局が公表した2020年度のデータによると、都市部の非民間企業に勤める従業員の平均年収は97,379元でした。日本円に換算すると、約165万5,443円(1人民元=17円で算出)。有限会社や個人事業主も含まれる民間企業の平均年収と比べると大幅に高くなっていることが分かります。
【産業別の都市部民間企業の平均年収(一部抜粋)】
業界 | 2020度 | 2019年度 |
情報伝達、ソフトウェアおよび情報技術サービス産業 | 101,281 | 85,301 |
金融業界 | 82,930 | 76,107 |
科学研究および技術サービス産業 | 72,233 | 67,642 |
製造 | 57,910 | 52,858 |
卸売と小売り | 53,018 | 48,722 |
電気、熱、ガス、水の生産と供給 | 54,268 | 49,633 |
(単位:元)
業界別の平均年収を見てみると、2020年度で最も年収が高かったのは「情報伝達、ソフトウェアおよび情報技術サービス産業」であり、日本円に換算すると約172万円です。
日本の給与相場からすると低く感じてしまいますが、2019年度のデータを見るとほとんどの産業で賃金成長が見られ、今後の成長率にも期待が持てるでしょう。
中国都市部【非民間企業】平均年収
中国国家統計局が公表した2020年度のデータによると、都市部の非民間企業に勤める従業員の平均年収は97,379元でした。日本円に換算すると、約165万5,443円(1人民元=17円で算出)。有限会社や個人事業主も含まれる民間企業の平均年収と比べると大幅に高くなっていることが分かります。
【産業別の都市部民間企業の平均年収(一部抜粋)】
業界 | 2020度 | 2019年度 |
情報伝達、ソフトウェアおよび情報技術サービス産業 | 177,544 | 161,352 |
金融業界 | 133,390 | 131,405 |
科学研究および技術サービス産業 | 139,851 | 133,459 |
製造 | 82,783 | 78,147 |
卸売と小売り | 96,521 | 89,047 |
電気、熱、ガス、水の生産と供給 | 116,728 | 107,733 |
(単位:元)
民間企業同様、非民間企業で2020年度の平均年収が最も高かったのは「情報伝達、ソフトウェアおよび情報技術サービス産業」という結果になっています。日本円に換算すると約301万円です。
民間企業と比べると金額に差はあるものの、全体の成長速度は民間企業7.6%・非民間企業7.7%とさほど差異はないため、今後の賃金成長に期待が持てることは同様でしょう。
産業や企業によりますが、中国現地でより余裕のある生活したいという場合は、非民間企業の求人に的を絞って探すのもおすすめです。
指定規模以上企業の【業界および職位別】平均年収
中国国家統計局が公表した2020年度のデータによると、指定規模以上の企業に勤める従業員の平均年収は79,854元でした。そのうち、中堅以上の管理職者の平均年収は164,979元であり、職位別データの中では最も高い金額となっています。
【指定規模以上企業の業界および職位別平均年収(一部抜粋)】
業界 | 中堅以上のマネージャー | 専門技術者 | 店員および関連要員 |
情報伝達、ソフトウェアおよび情報技術サービス産業 | 338,908 | 199,228 | 123,557 |
電気、熱、ガス、水の生産と供給 | 205,675 | 138,741 | 96,860 |
科学研究および技術サービス産業 | 272,189 | 145,663 | 93,488 |
製造 | 152,996 | 106,681 | 78,229 |
卸売と小売り | 166,785 | 106,225 | 76,383 |
(単位:元)
民間企業、非民間企業の平均年収データでトップとなっていた情報伝達、ソフトウェアおよび情報技術サービス産業の管理職になると、平均年収は日本円で570万円を超える結果に。高い年収を得るには大きな企業で管理職に就くのが有効であることは、日本でも中国でも変わらないようです。
中国現地で採用されるメリット
日本での年収と比べると給与が低くなってしまいがちな中国の現地採用ですが、中国でスキルを磨くことができれば将来大きく飛躍できる可能性があります。そのほかのメリットも含め、以下で解説するので、中国現地の採用に応募するか迷っている人は参考にしてみてください。
プライベートを優先した働き方ができる
中国ではプライベートに影響を与えてまで仕事をすべきではないと考える人が大半であることから、ワークライフバランスを保った働き方ができます。日本でもホワイト企業が増えていますが、雰囲気的に帰りにくいという場面も多々あるでしょう。中国現地の企業では、当然中国の国民性が反映されるため、プライベートを優先した働き方が叶います。
将来のキャリアアップに活かしやすい
世界トップクラスの経済大国であり、日本との貿易関係が深い中国での就労経験があれば、日本の就職市場で高く評価してもらえるでしょう。また、中国では起業支援政策がたびたび打ち出されていて、日本よりも起業がしやすい環境が整っていると言われています。将来的に中国での起業を視野に入れている方も現地採用で経験を積むことで、中国の市場感を掴めるはずです。
働き方の自由度が高い
中国で働くには、現地採用のほか駐在員として派遣されるという方法もありますが、現地採用では自由度高く働けるのがメリットです。駐在員はあくまでも日本から派遣されている人材であるため、業種や赴任期間などは選べません。一方、現地採用の場合は就職先も居住期間もすべて自分で決められるため、数多くの選択肢の中から自分が進みたい道を選べます。
中国現地で採用されるデメリット
中国現地で働くことを考える際は、デメリットも把握した上で応募をしましょう。以下で現地採用のデメリットについて詳しく解説します。
業種や職種によっては給与が低い
給与事情の項でも解説したとおり、業種や職種、企業によっては薄給となってしまう可能性も大いにあります。駐在員の場合は、赴任手当や海外生活のリスクを考慮したハードシップ手当が支給されることもあって一定以上の給与が保証されていますが、現地採用ではそれらの手当を受け取れないため高給は望みにくいのがデメリットです。また、中国では給与交渉に応じてもらえることは少ないと言われているので、応募の時点で給与額をよく確認しておく必要があります。
終身雇用が一般的ではない
日本では終身雇用を前提とした採用が一般的ですが、中国では労働契約法が施行されて以降、期間の定められた契約が基本となっているため雇用が不安定な一面もあります。中華人民共和国労働契約法(訳:日中経済協会)では2回の更新を行い、3回目の更新を行った場合は無期雇用とすることが義務化されていますが、契約を打ち切られる恐れも十分にある点に注意しなければなりません。
中国の現地採用の求人の探し方
中国現地で働くことを決めたら、実際に求人を探します。自分で検索をする方法もありますが、中国での現地採用の求人を探す際は、紹介をしてもらうことでスムーズに就職先が見つかるでしょう。以下で、現地採用の求人を探す方法について解説します。
中国の求人をWebで検索する
中国で働きたい日本人向けの求人を掲載している掲示板もあるので目を通してみると良いでしょう。ただし、自分で検索をして応募先を決める際は、就業環境や待遇の確認などを自身で行わなければなりません。いつでも手軽に探せるのはメリットですが、ミスマッチが起こりやすくなるため利用の際は慎重に選びましょう。
中国現地の知人に紹介をしてもらう
現地に知人がいる場合は、その人に紹介してもらう方法もあります。現地に知人がいない場合は、まずは留学をして知り合いを作るところから始めなくてはなりませんが、企業の実態を事前に把握した上で応募ができるので安心感は高いでしょう。
中国の求人に特化した就職エージェントを活用する
中国の現地採用で働きたい方には、中国の求人を専門的に取り扱っている就職・転職エージェントの利用がおすすめです。転職エージェントでは、応募者の適性を考慮して求人紹介を行ってもらえるためミスマッチが起こりにくくなります。また、求人情報だけでは分からない企業の実際の環境についても聞けるため、安心して就職活動ができるのもポイントです。
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