このページのまとめ
- 中国ではアニメーターの需要が高まっている
- 中国のアニメーターの給料は高めで、日本より条件が良い場合もある
- 中国は国内アニメ制作に注力しており、生産量第一位を記録した年もある
中国のアニメーターの就職事情を知りたい方もいるでしょう。中国のアニメ市場は拡大傾向にあり、アニメーターは需要が高まっている職種です。特に日本制作のアニメーションに関わったアニメーターは、引き抜きやUターン採用もされているといわれています。待遇は良く、給料も能力に応じて支払われており、就職するうえでの不安は少ないといえるでしょう。
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中国のアニメーターの需要
中国は近年アニメ市場が拡大しており、アニメーターの需要が高まっているようです。特に、日本国内だけでなく、海外の人々も魅了する作品を生み出してきた、日本企業のアニメーターを採用したいという中国のアニメ制作会社は増えています。
引き抜きをはじめUターン採用も積極的に実施
中国ですでに軌道に乗っているアニメ制作会社をはじめ、良質な作品を制作する意気込みのある企業では、高給料・厚遇の条件を提示し、日本人をはじめとする優秀なアニメーターの勧誘をしているようです。
ただし、中国のアニメ制作会社は、単に日本人アニメーターが欲しいというわけではありません。「日本アニメのクオリティを出せる人材」を求めているといえ、日本でアニメーターとして経験を積んだ中国人のUターン採用も行っているようです。
中国のアニメーターの給料事情と待遇
中国のアニメーターの給料は日本よりも高く、待遇面も良い場合があるようです。
特に給料面でいえば、就職先となる企業や案件内容によっては、月収が50万円を超える場合もあります。ただし、後述する日本の給料状況と同じく、各企業の給料基準やアニメーターとしての経験年数、「動画」「原画」「3DCG」など担当箇所により、支払われる金額は異なるでしょう。
一概に「中国のアニメーターのほうが給料や待遇が良い」とは言えない点には注意してください。
日本のアニメーターの給料
一般社団法人日本アニメーター・演出協会JAniCAが公益社団法人日本芸能実演団体協議会と協力し、文化庁「メディア芸術連携促進事業」の支援を受けて調査した「アニメーション制作者実態調査報告書2019」によると、2017年度の日本のアニメーターの平均年収は約440万です。
しかし、この数値のうち19.4%は、600万円以上を得ている人で構成されています。54.7%と大半の人の年間収入は、400万円以下です。さらに、中央値で見れば370万円とされています。単純に月収換算すれば、平均年収440万円で約36万円、中央値の370万円なら約30万円です。
アニメーターは、年齢や経験、担当業務により収入が大きく変わるため、このような収入の開きが出ているといえるでしょう。
日本のアニメーターの年齢別平均年収
先で紹介した調査結果の「アニメーション制作実態調査報告書2019(抜粋)」をもとに、アニメーターと全産業の平均年収についてまとめました。ここでは、アニメーターの平均年収が、全産業平均を上回る年齢である35~39歳までを記載しています。
20~24歳 | 25~29歳 | 30~34歳 | 35~39歳 | |
アニメーターの平均年収(万円) | 154.6 | 245.7 | 365.2 | 511.1 |
全産業の平均年収(万円) | 262 | 361 | 407 | 442 |
このように表で見ると、全産業平均を超えるのは、年齢や経験を重ねてからであることが分かりやすいでしょう。また、先述したアニメーターの平均年収である440万円に至るのも、35歳以降であると読み取れます。
経験年数や担当業務が年収に影響する
担当する業務によっても、収入に差があるようです。以下の表では、代表的な担当業務に分けて、年齢と勤続年数、年収の平均をまとめました。
動画 | 原画 | 3DCG | 総作画監督 | |
平均年齢(歳) | 27 | 40 | 35 | 45 |
平均勤続年数(年) | 4 | 17 | 12 | 26 |
平均年収(万円) | 125 | 334 | 550 | 788 |
このように、平均勤続年数や担当業務により、大幅な収入の違いが見られます。総作画監督の平均年収は、アニメーターの19.4%を占める「600万円以上」の収入です。総作画監督として活躍できる人材は限られているとはいえ、アニメーターの年収全体を底上げしている要因と考えられるでしょう。
参照元:一般社団法人日本アニメーター・演出協会JAniCA アニメーション制作者実態調査報告書2019
中国のアニメ業界の動向
日本貿易振興機構(ジェトロ)が2018年3月に発表した「中国アニメ市場調査」によると、中国のアニメ・漫画市場規模は2010年から右肩上がりで成長しており、2016年のアニメ分野では202.2億元を達成。2011年には、国内アニメ生産量が世界第一位になりました。生産量はその後、品質重視での制作へと移行したことで、下降しています。
中国のアニメ制作会社で働く場合、「量よりも質」という意識を持って働ける可能性があるでしょう。
輸入を規制し国産アニメの放送に注力
中国では2004年に国産アニメ産業活性化のため、国産アニメと輸入アニメの放送割合を7:3に設定しました。また、「国産アニメを制作したのと同じ分だけ、海外アニメの輸入を可」と、海外アニメの輸入が1:1となるよう規制。ゴールデンタイムでの海外アニメの放送も禁止とし、国産アニメを盛り上げる取り組みをしています。
主な放送チャンネル
中国はアニメ産業の活性化に向け、2004年からアニメ専門の衛生チャンネルを承認するようになりました。これにより、中国のアニメは、アニメ放送を主軸とするチャンネルをはじめ、アニメ専門チャンネル、動画サイトで配信されています。
主なアニメ内容
中国はこれまで、子供向けアニメを制作・配信することが多かったようです。しかし、国産アニメの制作に注力したことで、2016年頃から大人向けアニメも増加しています。
1タイトルが長編で構成されていることが多く、中には200話や500話以上にのぼる作品もあるようです。
2016年にはおもちゃと連動するロボットアニメを中心に、2017年には中国の伝統文化や美学・精神、日常をテーマとした内容が扱われるなど、手掛けるジャンルは多彩といえるでしょう。
日本のアニメ業界の動向
一般社団法人日本動画協会が発表した「アニメ産業レポート2021」によると、日本のアニメ市場は2009年から2019年までの10年間、順調に伸長していました。しかし、2020年は新型コロナウイルス(COBIT-19)の感染拡大により、「番組編成をはじめとする予定の見通しが立たない」「制作スケジュールが遅延する」といった理由で減少。あわせてタイトルの制作本数も減少しました。
しかし、アニメは数年先の放送を見据えて企画・制作を行っていることも多いため、同時期に制作が延期されたタイトルは、今後作られると考えられます。また、過去の人気タイトルの関連作品や、スマホゲームをはじめとするメディアミックス作品なども続々と誕生。アニメへの関心が薄かった層も取り込み、国内映画興行収入400億円を突破した作品も生まれています。これまでのアニメ文化が尊重されるとともに、新しい層からのニーズが生じる可能性があるなど、今後このまま減少し続けるとは考えにくいでしょう。
さらに、近年はTV向けだけでなく、配信サービス向けのアニメや中国を含めた海外アニメ制作会社からの外注・制作請負も増えているため、アニメーターとして活躍する場がなくなる可能性は低いと考えられます。
参照元:一般社団法人日本動画協会 アニメ産業レポート2021
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