このページのまとめ
- 制度上は、日本人も中国で看護師として働ける
- 日本人が中国で看護師として働く際は、日本人向けのクリニックがおすすめ
- 中国では看護師や医師などの医療従事者が不足している
- 中国で看護師として働くには、Zビザが必要
看護師のなかには、中国で働きたいと考えている人もいるでしょう。しかし、「資格を取れるのか」「日本人看護師はいるのか」といった疑問を持つ人も多いはず。実際のところ、現地の病院で働く日本人看護師は少なく、日系のクリニックに勤める人が多いようです。このコラムでは、中国で看護師として働く方法を解説します。また、中国と日本の看護師の違いも紹介。内容を参考にして中国への移住・就労をスタートさせましょう。
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日本人は中国で看護師として働ける?
日本人が中国で看護師として働くことは可能です。日本の看護師資格は中国では利用できません。そのため、中国の看護師資格を取得し直す必要があります。中国の看護師資格の受験要件は以下のとおりです。
- 国務院の教育行政部門によって承認された海外の看護系教育機関を卒業している
- 中国政府教育が認定する中国語の資格である漢語水平考試(HSK)に合格する
- 指定された医療機関で3ヶ月以上の実務経験を得る
以上の条件を満たし、中国の看護師試験に合格すれば医療機関で働けます。しかし、実際に現地の医療機関で働く日本人看護師は非常に少ないようです。海外で働く日本人看護師は、アメリカやカナダ、ニュージーランドなどの国に多いといわれています。理由は、これらの国が外国人看護師を積極的に受け入れているためです。一方、中国は進んで外国人看護師を雇用しているわけではありません。そのため、大病院や有名病院であっても日本人看護師を見かけることは少ないでしょう。
中国でも日本人看護師が多く働く場所があります。日本人駐在員やその家族向けの日系クリニックでは、医師のほかに看護師も日本人であるケースが多いようです。なお、日系クリニックでは、日本の看護師免許のみでも働ける可能性があります。この場合、日本の看護師免許は中国で効力がないため、受付事務や医師補助業務が中心です。日系クリニックは大都市に集中しています。特に、上海や北京、広州・深センなどに多いでしょう。中国で看護師として働きたい人は、日系クリニックを中心に求人を見てみることをおすすめします。
中国の看護師について
ここでは、中国の看護師について解説します。日本と中国の看護師の異なる点を知り、実際に働く際の参考にしましょう。
中国の看護師には階級がある
中国の看護師は中国看護昇進制度のもと、以下の5つの階級に分けられています。
- 主任護師
- 副主任護師
- 主管護師
- 護師
- 護士
主任護師は最も位が高く、大学教授に相当する資格です。中国では、学歴や経験、昇進試験の結果によって階級が変わります。階級によって働ける職場や給料が変わるのが、中国の看護師の特徴です。日本の看護師の場合、役職に就いたり看護師資格に付随する専門的な資格を取得したりすると、手当が支給されます。しかし、看護師資格自体の階級は存在しません。看護師資格の階級制度の存在は、日本と中国の看護師の最も異なる点といえるでしょう。
中国の看護師は忙しい
中国の看護師は、非常に忙しい職業だといわれています。その理由は、看護師の数が不足しているためです。中国統計年鑑2019年版によると、中国の2018年の護士(正看護師)の数は409万8千630人でした。この数は人口1000人当たりに看護師が2.94人いる計算です。この人数は、世界的に見ても非常に少なく、慢性的に看護師が不足していることが分かります。中国の看護師は日本人とは違い、穿刺や薬剤の投与が業務の中心で生活補助は行いません。それでも、看護師より患者の数が圧倒的に多いため、激務が予想されます。「忙しい方が好き」「多くの患者と接したい」という人には向いている職業だといえるでしょう。患者一人ひとりと寄り添い、丁寧な看護を行いたい人は規模の小さい日系のクリニックの方が働きやすいと考えられます。
中国の看護師は地位が高いとはいえない
残念ながら、中国の看護師は地位が高いとはいえない職業です。日本の看護師は「白衣の天使」という言葉があるように、人々から尊敬され社会的信用も高い職業といえます。一方、中国では人の世話をする職業はあまり人気がないようです。また、看護師資格の階級によって給料が大きく異なり、経験を積むまでは給与水準が高いとはいえません。地位や高収入をすぐに得たい人には、中国で看護師として働くのはおすすめできませんが、経験を積んで階級が上がれば状況は少しずつ変わってくるでしょう。
中国の医療制度の特徴
中国で看護師として働きたいと考える人は、医療制度についても知っておきましょう。
医療機関が等級分けされている
中国の医療機関は、等級で区別されているのが特徴です。中国では、病院が1~3級の等級に分けられます。そのなかでさらに甲・乙・丙の級に分けられるため、全部で9つの分類が存在するのです。等級は、国家衛生委員会が規模や機能、病床数などをもとに定めています。経済産業省の資料をもとに作成した、中国の病院の分類と基準の表は以下のとおりです。
カテゴリ | 定義 | 病床数 | 病床あたり医療スタッフ数 | スタッフに関する条件 |
3級病院 | 複数の地区に専門性の高い医療サービスを提供し、高等教育、技術的任務を有する病院 | 500床 以上 | 医師:1.03名以上看護師:0.4名以上 | ・各診療科に副主任医師1名以上・臨床栄養師2名以上・技術スタッフがスタッフ総数の1%以上 |
2級病院 | 複数のコミュニティに総合医療衛生サービスを提供し、一定の教育的、技術的任務を有する病院 | 100~499床 | 医師:0.88名以上看護師:0.4名以上 | ・副主任医師3名以上・各診療科に主治医師1名以上 |
1級病院 | 一定の人口規模を有するコミュニティに予防、医療、保健、リハビリテーションサービスを提供する基礎病院、衛生院 | 20~99床 | 0.7名以上 | ・医師3名以上(うち、主治医師1名以上)・看護師、薬剤師、放射線技師5名以上 |
中国の「病院」と名称が就いている医療機関は、1級病院以上の基準を満たしています。最も医療水準の高い3級病院には、患者が集中する傾向にあるようです。
治療費は先に支払う
中国の医療費は原則先払いです。また、医師の技術や薬の種類、利用する医療機器によって支払う金額が異なります。治療費は受付時や診察時、投薬時に都度支払わなくてはなりません。保証金が必要な場合も多く、中国で大きな病院に掛かる際は多額の現金が必要になるでしょう。あとでまとめて支払う日本とは大きく異なる部分です。
上海市や北京市などの外国人が多く居住する地域には、外国人専用外来がある病院や外資系のクリニックがあります。通常の病院よりさらに治療費が高額になるものの、質の高い医療を受けられたり日本語が通じたりといった利点もあるようです。
人気の病院は非常に混み合う
中国では、人気の病院に患者が多く集まり非常に混雑します。人気があるのは、大都市にある3級に該当する病院です。中国の病院の医療水準は地域間で格差があります。高い水準の医療を提供できる3級病院は、都市部に集中しているのが実情です。そのため、より良い治療を求める地方居住者は、都市部の病院まで診察を受けに来ます。そのような状況であることから、大病院には多くの人が集まり、診察券を得るのも非常に苦労するようです。また、先述したように治療費を都度払いしなければならず、時間が余計に掛かります。中国で質の高い医療の診察を受けるのは容易ではありません。
日本人が中国で働くには
ここでは、日本人が中国で働くために必要な手続きを紹介します。
Zビザを取得する
外国人が就労目的で中国に取得する際はZ(就労)ビザを取得します。ほかにもMビザ(商用・貿易活動)やRビザ(高度外国人材・専門分野人材)などの種類がありますが、看護師として働く場合はZビザを取得することになるでしょう。Zビザの取得条件や申請に必要な書類は以下のとおりです。
Zビザの取得要件
国家移民管理局の資料によると、Zビザを取得するには以下の条件を満たしている必要があります。
- 18才以上
- 健康状態に問題がない
- 中国での就労に必要なスキルおよび実務経験を持ち合わせている
- 前科がない
- 有効期限のあるパスポートもしくはそれにかわる書類を持っている
- 明確な雇用単位がある
上記のように明確な基準のほかに、審査に影響する項目があります。年齢の上限は明確には設けられていないものの、60歳以上になると審査に通らないケースもあるようです。ただし、絶対に無理というわけではなく、持ち合わせているスキルや経験、管轄の地区などによって左右されます。
学歴に関しては、大卒以上が望ましいとされています。しかし、学歴以外の手段で技能や実績を証明し、入国が中国にとって有益と判断されれば審査を通過できるでしょう。
Zビザはあくまで中国の入国を許可するための査証です。実際に中国で居住・就労するためには、後述する外国人就業証および居留許可証を取得しなくてはなりません。
Zビザを申請する際の必要書類
中国ビザ申請センターによると、Zビザの取得には以下の書類が必要です。
- パスポート原本および写し(余白が2ページ以上あり、有効期限が6ヶ月以上あるもの)
- 撮影から6ヶ月以内の証明写真(4.8cm×3.3cm、白の背景、カラー印刷)
- 中華人民共和国査証申請表
下記のいずれかの書類
- 外国人就業許可通知
- 外国専家来華工作許可証
- 外国(地区)常駐機構登記証
- 商業性文芸演出承認書類(訪中し商業性演出をする申請人にのみ適用)
- 外国文化センター招聘職員確認書
- 外国人在中華人民共和国従事海上石油作業的邀請信
以上の書類のほかに、就業する企業が用意する書類もあります。書類に不足や不備があると手続きに時間が掛かるので、雇用先の企業と連携を取りつつ書類を用意しましょう。
外国人就業証および居留証明証を申請する
日本人が中国で居住・就労するにはZビザだけでは不十分です。Zビザで中国に入国したあとに「外国人就業証」と「外国人居留証明書」を申請しなくてはなりません。
ここでは、日本貿易振興機構(ジェトロ)の資料をもとに、申請手続きを紹介します。
外国人就業証の手続き
中国に入国した外国人は、15日以内に外国人就業証の申請を行います。申請先は管轄地の人力資源・社会保障行政部門です。以下の書類を用意して申請を行いましょう。
- 外国人就業許可書
- パスポート
- 健康診断書
- 雇用契約書の写し
- 外国人就業登記表
- 写真
申請から発給までに掛かる日数は、約2週間です。
外国人居留証明書の手続き
外国人居留証明書の申請は、入国から30日以内に外国人就業許可証を受領してから行います。申請先は、就業する企業の所在地の地方人民政府公安機関出入境管理機構です。必要な書類を以下で紹介します。
- パスポート
- 健康診断書
- 外国人就業証
- 写真
- 中国企業の営業許可証
- 外国人居留申請書
- 指紋などの生体認証情報
なお、提出書類は頻繫に変更になるようです。最新の情報をチェックし、必要であれば行政書士や弁護士などの専門家も頼ってみましょう。中国の就労ビザについてさらに詳しく知りたい方は、「中国の就労ビザの申請方法とは?種類や必要書類についても解説!」のコラムもぜひ参考にしてください。
中国の外国人就労許可制度とは
中国には、外国人労働者をA類~C類に分類する外国人就労許可制度があります。以下の表を参考にしてください。
上記の表のA類に分類される外国人は「ハイレベル人材(高度外国人材)」とされ、中国にとって有益な人材として積極的に受け入れられています。一方、B類やC類に分類される外国人は、中国国内の雇用を確保するために受け入れが制限される方針です。ただし、運用方法は各地方によって異なります。中国で看護師として働こうと考えている人は、このような制度があることを頭に入れておくと良いでしょう。
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