このページのまとめ
- ベトナム語の検定試験は3種類あり、日本やベトナムなど受験地に合わせて選択できる
- 実用ベトナム語技能検定試験(ViLT)は口述試験がない筆記メインの検定試験
- 国際ベトナム語能力試験(iVPT)の受験地は東京と大阪で、ネットで申し込める
- ベトナム語能力評価試験はホーチミンで開催される高レベルの検定試験
- ベトナム語検定の勉強法は、ベトナムについて調べながら語学学校に通うのがおすすめ
ベトナム語の検定試験は、ベトナム語の理解を深めるためにピッタリの方法です。ベトナムは、人口の約87%を占めるキン族と53の少数民族から成り立つ多民族国家。ベトナムの公用語は、キン族の言葉であるベトナム語が中心となっています。ベトナムで進学や就職を考えている方は、ベトナム語を話せる証明として、ベトナム語の検定試験にチャレンジしてみてはいかがでしょうか?
ベトナム語の検定試験の種類とは
ベトナム語の検定試験には、「実用ベトナム語技能検定試験(ViLT)」と「国際ベトナム語能力試験(iVPT)」、「ベトナム語能力評価試験」の3つがあります。日本で受験できる試験は、「実用ベトナム語技能検定試験(ViLT)」と「国際ベトナム語能力試験(iVPT)」の2つです。現地で受験したい方には「ベトナム語能力評価試験」がおすすめです。
それぞれの検定試験の特徴は、次の項目から説明していきます。
東京で受験できる「実用ベトナム語技能検定試験(ViLT)」
日本東南アジア言語普及交流協会(J-TAG)が実施している検定試験です。2013年の日本ベトナム友好年(外交関係樹立40周年)以降、日本とベトナムとの交流が盛んになり、人材育成や技術開発などが増加したことで、ベトナム語に接する機会が多くなりました。そこで、これまで日本にはベトナム語の検定試験がなかったため、ベトナム語を学ぶ方のための指針となるよう、2017年に「実用ベトナム語技能検定試験(ViLT)」を設立。日本で初めてのベトナム語検定試験がスタートしました。
検定試験では、ベトナム語を母国語としない人を対象に、最上位級の1級から準6級までの7段階で評価しています。試験は毎年6月に開催。試験会場はJR山手線や東京メトロ東西線などが乗り入れる「高田馬場」駅周辺で行われています。
受験者数は?
2017年に実施された1回目の検定試験では、約380人が受験。翌年の2回目は約560人、3回目では約700人が受験しています。4回目の試験はコロナウイルスの影響で中止となりましたが、2021年に実施されました。回数を重ねるごとに受験者数が増加していることから、ベトナム語に興味をもっている人の多さが伺えます。
参照元:ベトナムの声放送局VOV5-実用ベトナム語
出題は首都ハノイのある北部の言語から
検定試験の出題は、首都ハノイがあるベトナム北部の言語を使用しています。ベトナムには、北部・中部・南部の地域によって方言があり、言葉の言い回しや発音が異なります。試験勉強では必ず「北部の言語」で学習するようにしましょう。
口述試験は実施しない
実用ベトナム語技能検定試験(ViLT)では、口述試験がありません。試験内容は筆記(語彙・文法)、リーディング、リスニングの3つです。ご自身の会話のレベルを知りたい方や話すことに重点を置きたい方は、口述試験がある「国際ベトナム語能力試験(iVPT)」も受験すると良いでしょう。
各級のレベルや内容は、次の項目を参考にしてみてください。
各級の難易度と過去問の入手方法
各級のレベルと合格基準を確認していきます。
級 | 評価内容 | 学習時間の目安 | 合格点の基準 |
1級 | 職場や社会生活などの広範囲において、専門的で高度なベトナム語を理解・使用できる | 約600時間単語数10,000語ほど | 200点満点の75%以上 |
2級 | 職場や社会生活などの広範囲において、専門的でやや高度なベトナム語を理解・使用できる | 約450時間単語数7,500語ほど | 200点満点の75%以上 |
3級 | 職場や社会生活で、自分の専門分野の説明や議論に必要なベトナム語を理解・使用できる | 約300時間単語数5,500語ほど | 200点満点の70%以上 |
4級 | 日常生活で関わるベトナム語を理解・使用できる | 約200時間単語数3,500語ほど | 200点満点の70%以上 |
5級 | 日常生活で関わる簡素な文章のベトナム語を理解できる | 約120時間単語数2,000語ほど | 200点満点の65%以上 |
6級 | 簡素な文章のベトナム語を理解・使用できる | 約60時間単語数1,000語ほど | 200点満点の65%以上 |
準6級 | 簡素な語句や文章のベトナム語を理解・使用できる | 約40時間単語数500語ほど | 120点満点の65%以上 |
参照元:実用ベトナム語技能検定試験-試験について
実用ベトナム語技能検定試験(ViLT)の過去問題集がほしい場合は、実用ベトナム語技能検定試験のサイトにある「過去問題集」から入手できます。問題集には「2級~4級」、「5級~準6級」の2冊があり、過去2年間分の問題が掲載されています。さらに、各級のサンプル問題もダウンロードできるので、どの級を受験するか迷ったときに活用すると良いでしょう。
独学でも合格を目指せるレベルは?
5級~準6級の問題文は日本語表記されており、リスニングの問題文も日本語対応のため、参考書や問題集による独学でも合格できる可能性があります。
また、4級以上は筆記・リスニングともにすべてベトナム語での出題です。4級以上の合格を目指す場合は、語学学校やオンライン講座などを活用すると合格への近道になるでしょう。
就職に有利なレベルは?
実用ベトナム語技能検定試験(ViLT)の3級に合格していると、現地での就職に役立つ可能性があります。4級までは日常生活に必要なベトナム語の習得でしたが、3級以上は自分の専門分野で議論できるレベルとなっています。現地での就職やベトナム語を仕事に活かしたい場合は、3級以上を目指すと良いでしょう。
「国際ベトナム語能力試験(iVPT)」は国際的に認可された試験
VTS(VIETNAMESE TESTING SERVICE)が主催する検定試験。ベトナムや台湾、アメリカなど多数の大学機関や語学機関に認可された試験です。「国際ベトナム語能力試験」を実施する団体は、同試験の運用に携わることが可能。日本では、2020年から日本での受験が可能となり、大阪大学および神田外語グループが運営に参加しています。毎年2月頃に試験を実施しています。
試験会場は東京と大阪
国際ベトナム語能力試験(iVPT)の試験会場は、神田外語学院(東京)と大阪大学箕面新キャンパス(大阪)の2ヶ所です。
受験資格と出願方法
受験資格はありません。国籍や職業などに関係なく、どなたでも申し込むことができます。
試験の申し込みはインターネットのみで、当日の申し込み受付はしていません。受験票は、受験票交付日にダウンロードできるようになります。試験当日までにプリントアウトして会場へ持っていきましょう。
検定試験のレベル分けは?
国際ベトナム語能力試験(iVPT)では、ヨーロッパ言語共通参照枠(CEFR)の基準に従い、レベル分けをしています。ヨーロッパ言語共通参照枠(CEFR)とは、外国語の能力を同じ基準で測るための国際的なガイドラインです。欧州評議会が研究開発し、2001年に公開。日本語を含む40言語で使用されています。受験者は、A(初級)・B(中級)・C(上級)の3つから受験するレベルを選択。試験の総得点に合わせて、それぞれの等級(1または2)が決まります。
各レベルの試験内容と総得点の配分は、以下のとおりです。
レベル | 試験内容 | 総得点 | 等級 |
C(上級)400点満点 | 聴解(リスニング) 読解(リーディング) 筆記(ライティング) 口述(スピーキング) | 320~400点 | C2(専門) |
240~319点 | C1(上級) | ||
B(中級)400点満点 | 聴解(リスニング) 読解(リーディング) 筆記(ライティング) 口述(スピーキング) | 320〜400点 | B2(中上級) |
240〜319点 | B1 (中級) | ||
A(初級)100点満点 | 聴解(リスニング) 読解(リーディング) | 80〜100点 | A2(初級) |
60〜79点 | A1(基礎) |
- Aレベルは、日常生活で簡単なやり取りができる
- B1レベルは、日常生活や職場でやり取りができる
- B2レベルは、ネイティブスピーカーとのやり取りができ、やや流暢な会話ができる
- Cレベル以上は、高度で専門的な内容を読み解き、流暢な会話や表現ができる
Bレベル以上を取得していると、現地での就職に活かせるでしょう。
参照元:国際ベトナム語能力試験(iVPT)-その他「iVPT受験者の成績総得点とレベル基準対照表」
口述試験はおよそ7分間
口述試験はBレベルとCレベルのみ実施されます。各レベルの口述試験は次のとおりです。
Bレベル
- 絵を見て作話(準備時間30秒、口述時間1分)
- ベトナム語で書かれたテーマに沿って口述(準備時間1分、口述時間2分)
Cレベル
- ベトナム語で書かれたテーマに沿って口述(準備時間2分、口述時間3分)
口述試験は、ヘッドセットをつけてパソコンに声を録音する方法です。Bレベルの試験では、絵を見て作話があります。4コマの絵を見て、その内容について話します。試験サンプルは、公式サイトの出願方法「試験の種別、科目、出願料」にあるので参考にしてみてください。
国際ベトナム語能力試験(iVPT)は、次に紹介する「ベトナム語能力評価試験」と似ているところが多い検定試験です。現地に行かなくても、ヨーロッパ言語共通参照枠(CEFR)に合わせたレベルの証明ができるのでおすすめです。
「ベトナム語能力評価試験」は現地で開発された検定試験
ベトナム国家大学ホーチミン人文社会科学大学が研究・開発した外国人向けのベトナム語検定試験です。国際ベトナム語能力試験(iVPT)と同じく、ヨーロッパ言語共通参照枠(CEFR)の基準に合わせてA1~C2のレベルで評価しています。
試験会場はホーチミンと台湾
試験会場は、ベトナム国家大学ホーチミン人文社会科学大学ベトナム語学部と致理科技大学(台湾)です。開催月は、奇数月(1月、3月、5月、7月、9月、11月)と4月はホーチミン、その他(6月、12月)は台湾で実施しています。
検定試験の難易度は?
ベトナム語能力評価試験では、受験者全員が同じ問題を受け、スコアに合わせてそれぞれのレベルに分けられます。
試験内容 | 学習時間(1コマ=50分) | スコア10点満点 | レベル |
聴解(リスニング) 60分読解(リーディング) 60分作文(ライティング) 60分口述(スピーキング)15分 ※口述試験は面接官との対話形式 | 800コマ | 9.0-10 | C2 |
720コマ | 7.5-8.5 | C1 | |
640コマ | 6.0-7.0 | B2 | |
480コマ | 4.0-5.5 | B1 | |
320コマ | 2.0-3.5 | A2 | |
160コマ | 1.0-1.5 | A1 |
参照元:ホーチミン人文社会科学大学-ベトナム語学科「ベトナム語能力試験 試験フォーム」
ベトナム語能力評価試験のC1レベルの学習時間は約600時間。実用ベトナム語技能検定試験(ViLT)の1級の学習時間も約600時間なので、C2レベルはかなり高いレベルと言えます。
どうやって申し込むの?
基本的には試験会場であるベトナム語学部ホーチミン人文社会科学大学ベトナム語学部と、致理科技大学で申し込みの受付を実施。韓国でも申し込めますが、試験会場ではありませんので注意が必要です。
また、受験資格は特にありませんが変更する可能性もあるため、公式サイトなどを必ずチェックしてください。
過去問はホーチミン人文社会科学大学で入手できる!
ベトナム語能力評価試験の問題集は、ホーチミン人文社会科学大学ベトナム語学部の試験受付窓口で販売しています。試験勉強の一つとして入手しておいたほうが良いでしょう。
ベトナム語検定のおすすめ試験対策3つ
ベトナム語の検定試験に興味をお持ちの方や上級レベルを目指したい方に、おすすめの勉強方法を3つご紹介します。参考書や問題集を解くほかに、これもやっておくと役に立つという情報をお伝えします。
1. ベトナムという国を調べる
ベトナム語の検定試験では、ベトナムの文化や歴史などから出題されることもるため、ベトナムについての知識を増やすとよいでしょう。生活や文化、産業など、ベトナムがどのような国なのかを知っていると勉強へのモチベーションに繋がったり、口述試験の対策にも役立ちそうです。
2.ベトナム語のニュースサイトを見る
ニュースサイトやラジオなどでベトナムの情報を集めると、基礎知識を増やせたり、会話の背景を想像することができるのでおすすめです。ベトナム語を学ぶとき、参考書や問題集を解くだけではベトナムの内情を知ることが難しいでしょう。検定試験にはベトナム国内に関する問題もあるため、ニュースサイトを見て現地の知識を蓄えると試験に役立ちます。また、ベトナム語のラジオが聞ける場合は、聞き流しているだけでもリスニングや発音の勉強になるでしょう。
3.ベトナム語学校に通う
口述試験対策やレベルアップ対策として、ベトナム語の語学学校に通うことをおすすめします。ベトナム語の検定試験の多くは、中級以上のレベルになると作文や口述が必須です。特にベトナム語は発音が難しいため、発音を間違えると違う意味になることもあります。語学学校の先生に指導してもらいながら正しい発音が身につけることが必要です。
また、ベトナム語能力評価試験の試験会場であるホーチミン人文社会科学大学では、短期ベトナム語クラスの受講が可能で、2021年からはオンラインでの受講もできるようになりました。同大学のベトナム語学部は、外国人向けの語学学習に注力している学部のため、上位のレベルを目指す方にも最適でしょう。ただし、短期ベトナム語クラスの入学条件は、ベトナム語能力評価試験でA2レベル以上が必要です。
ベトナム語検定を受験するメリットは?
ベトナム語の検定試験を受ければ、ベトナム語を話せる証明となり、日本でもベトナムでも活躍できるチャンスに繋がります。日本では、ベトナムからの留学生や技術実習生などが増えています。2020年6月時点の日本の在留ベトナム人は42万人以上で、2019年末と比較すると8,400人ほども増加。中国や韓国に続き、3番目に多い国となっています。また、ベトナムの在留邦人数は2016年で約16,150人でしたが、2020年には約23,430人に増加しています。
日本でベトナム語を話せる方は、英語や中国語に比べるとまだまだ少なめ。ベトナム語の検定試験である程度のレベルを取得すれば、活躍できるフィールドをさらに広げられるでしょう。
参照元:出入国在留管理庁ホームページ-令和2年6月末現在における在留外国人数について
外務省-海外在留邦人数調査統計「令和3年(2021)版(令和2年10月1日現在)(Excel)」
日本ではベトナムへの関心が高まっている
ベトナムへの日系企業の進出が増えているため、ベトナム語を話せる人材としてアピールできるチャンスです。
ベトナムに進出している日系企業は、2013年では約1300社でしたが、2017年には約1800社に増加しています。さらに、ベトナムでは日系企業の進出に伴って、日本人スタッフの需要が少しずつ広がっています。ベトナム語スピーカーとして、在留ベトナム人や現地スタッフとのコミュニケーションを図れるポジションを確保できるでしょう。
参照元:外務省-海外在留邦人数・進出日系企業数の調査結果(平成30年要約版)「海外在留邦人実態調査(PDF」)p.58
ベトナムでの就職に役立つ
ベトナム語の検定試験で一定以上のレベルを取得していれば、現地の言葉でコミュニケーションが取れるという点をアピールできます。ベトナムには、現地の企業をはじめ、日系企業やその他の国の企業などが集まっています。ベトナムの企業で働く場合、現地の言葉を話せることはベトナムに関心があると印象付けることができ、大きなメリットに繋がるでしょう。また、ベトナムに進出している企業では、英語を社内公用語にしているところが多いです。日系企業では日本語も使用しています。その中でベトナム語を使用できると、現地スタッフとのやり取りだけでなく、信頼関係を深めることにも繋がるでしょう。
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